厄介な“浮き輪肉”をスッキリさせるには入浴後のマッサージ習慣を

長時間座っていることもリンパの流れを悪くする原因に(写真:アフロ)

記録的な猛暑となった今年の夏、アイスやかき氷など、冷たいスイーツを食べすぎたことも影響し、気づけば「おなかまわりがキツくなってしまった!」と、嘆く声をよく聞く。

「腰まわりについた脂肪が、まるで浮き輪をつけているように見えることから“浮き輪肉”と言われていて、中高年女性から多くの悩みが寄せられます。太ってしまう大きな理由の1つは年齢とともに基礎代謝が低下すること。若いころはダイエットに取り組めば簡単に落とせていた脂肪が、なかなか落ちなくなってしまうのです」

そう解説するのは、鍼灸マッサージ師で、鍼灸・マッサージ治療室ファファラ代表の横山由美子さん。脂肪がつく原因は、代謝が低下することのほかにもあるという。

「座っている時間が長いと、おなかのまわりにある筋肉『腸腰筋』が硬く、伸びづらくなってきます。同時に座りっぱなしの生活で太ももの前のつけ根にある『そけい部』のリンパの流れも滞るため、血流が悪化するといった悪循環から、腰まわり、下腹部のまわりに肉がつきやすくなってきます」(横山さん、以下同)

日常的な座りすぎに思い当たるという人は、こまめに動くことを意識したい。自分のおなかのたるんだ肉をつまんで落ち込んでいる人も諦めてはいけない。一度ついた脂肪はハードな筋トレなどをしなければ落とせないと思われがちだが、簡単に“浮き輪腹”を解消できる方法があると横山さんは言う。

「おなかまわりの肉をつまんでほぐすだけでいいのです。硬くなった脂肪をもみほぐすことでやわらかくしながら、リンパの流れや血流を促して代謝をアップさせます。すると、しつこい脂肪が少しずつ燃焼しておなかまわりがスッキリしてきますよ」

やっかいなムダ肉を手軽に退治できるとあればぜひトライしたい! そのやり方を横山さんに解説してもらった。

まずは準備運動からスタート。両足を肩幅ぐらいに広げてまっすぐに立ち、おなかを膨らませるようにゆっくりと息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。この腹式呼吸を5回繰り返す。

「腹式呼吸で自律神経の副交感神経を優位にさせてリラックスした状態でマッサージを行うと効果アップ。老廃物をスムーズに流すために、事前の腹式呼吸はしっかりと行いましょう」

そのまま立ち姿勢で、浮き輪を作っている肉をつかむ。腰の右側を少し浮かせると、右側に脂肪のかたまりが現れる。両手でハート形を作り、この脂肪をキャッチ。

「お肉を“ガバッ”とつかむと悲しい気分になってしまいますが、気分をアゲながらほどよい力強さでマッサージするためにハート形を作って行いましょう」

そこから、つかんだおなかをマッサージしよう。

「脂肪をつかんだ状態で、右手を下・左手を上、次に左手を下・右手を上……と“S字”のようにひねり、しっかりともみほぐしましょう」

さらに、手をハート形にしたままの状態から、右から左へ手の位置をスライドさせていく。 このとき、同時に腰の右側と左側を交互に上げて動かす。「1、2」と、おしりを左右にテンポよく振るイメージでやってみよう。

仕上げは、おなかの肉をそけい部に流していくマッサージ。ほぐしたムダ肉を足のつけ根の方へ両手で押し流そう。

「左右それぞれ5回ほど行いましょう。そけい部にはリンパ節があり、ここを手で押し流すことで老廃物を体外へ排出する手助けをします」

最初はおなかをつまんだときに肉が硬く感じる人もいるというが、毎日続けるうちだんだんつまみやすくなっていくそうだ。

「テレビを見ながらなどスキマ時間にいつでもできますが、おすすめは入浴後。血流がよくなっているため老廃物が流れやすくなります。1日最低でも1回。まずは2週間から1カ月程度続けてみると効果を実感できるでしょう」

おなかの浮き輪は、秋本番前に取ってしまおう。

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