地域移行へ人材バンク 中学部活動 茨城県教委が開設

茨城県庁=水戸市笠原町

公立中学校の部活動の「地域移行」を進めるため、茨城県教育委員会は指導者を登録する人材バンクを開設した。休日などに教員の代わりに生徒を指導できる人材の情報をホームページに掲載。採用したい市町村側と指導者との間を取り持つ。11月には県教委を介さず、市町村と登録者が直接交渉できるマッチングシステムに発展させる。

開設したのは「地域クラブ活動人材バンク」。市町村や教育委員会が主体となって取り組む地域クラブに対し、ニーズに応じて指導者を紹介する。9月末時点で194人が登録した。県教委がホームページで、個人が特定できない範囲で情報を公開している。

登録者は、野球やサッカー、陸上競技といった指導が可能な種目や市町村、保有する資格、初心者や中級者など指導対象のレベル、活動できる曜日や時間帯、指導歴などが一覧となっている。

マッチングの流れは、市町村が指導者の登録情報を見た上で、県教委に紹介を依頼。県教委は情報提供の可否を指導者に確認し、承諾を得た上で詳しい情報を市町村に提供する。その上で、市町村が指導者に直接依頼する。任用は市町村に委ねられる。

指導者は資格や経験がなくても登録できる。指導者になった場合の報酬や交通費は、市町村や運営団体、実施主体となる団体の規定に基づいて支払われる。条件が合わない場合は断ることも可能だ。

県教委保健体育課は11月から、市町村と指導者が直接やりとりできるマッチングシステムに発展させる。オンライン上で、県教委を介さず、じかに詳細な交渉が可能となる。

地域移行は、教員の負担軽減や、少子化が進む中での部活動維持などが目的。県教委は2月、地域のクラブ運営や指導体制などに関するガイドラインを策定した。地域移行の達成時期については、国の方針に基づき、「地域の実情に応じて可能な限り早期の実現」を目指す。一方、市町村は指導者の確保が課題としている。

同課の担当者は「子どもたちがスポーツや文化芸術活動に親しむ機会を確保するために力を借りたい」として、登録を要請するとともに、市町村には人材バンクの活用を呼びかける。

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