高校生と大学生2人に感謝状「助かって何より」 ひき逃げ事件の被害者や行方不明の高齢者発見に貢献 兵庫県警

ひき逃げ容疑者の早期逮捕に貢献した片山佳菜さん(左)と新開亘輝さん=兵庫署

 行方不明の高齢者や事故被害者の早期発見に貢献したとして、兵庫県警兵庫署は、高校生と大学生2人にそれぞれ感謝状を贈った。

 行方不明届が出されていた80代女性を見つけたのは、育英高校(神戸市長田区)野球部1年石地広樹さん(16)。8月1日午後、石地さんは地下鉄上沢駅に止めた自身の自転車のかごに、長袖、長ズボン姿の高齢女性が荷物を入れようとしているのに気付いた。

 「その自転車、僕のです」と声をかけると、直後、女性の携帯電話が鳴った。女性はうまく場所を説明できずにいたため、石地さんが電話を変わると、相手は女性の夫だった。夫婦で買い物中、はぐれてしまい、夫はすぐに行方不明届を出して探していたという。

 警察官が到着するまで女性は落ち着かない様子だったが、石地さんは「緊張はしなかった。女性から『学校はどう?』と聞かれて、世間話をして過ごした」。感謝状を受け「学校でも困っている人がいたら積極的に助けたい」と話した。

 事故被害者を早期発見したのは、いずれも大学3年の片山佳菜さん(20)と新開亘輝(のぶてる)さん(21)。片山さんは5月3日未明、新開さんを迎えに行くため、兵庫区内を車で走行中、道路脇の側溝から飛び出す「何か」が見えた。気になり、新開さんらを車に乗せ、現場に戻ると上半身が側溝にはまった男性が倒れていた。

 新開さんは、ただならぬ雰囲気を察して110番。男性は腰を骨折する重傷を負ったが、幸い一命は取り留めた。

 兵庫署などの捜査で、男性はひき逃げ事故の被害者と分かり、翌4日の容疑者逮捕につながった。

 片山さんと新開さんは「まさかひき逃げ事件だったとは。男性が助かって何より」と口をそろえた。(千葉翔大)

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