国交省 踏切内誘導ブロック調査 視覚障害者ら新パターン体験 茨城

模擬踏切内に設置された誘導ブロックを確認して進む参加者=つくばみらい市紫峰ケ丘

国土交通省は5日、茨城県つくばみらい市紫峰ケ丘2丁目の東鉄総合研修センターの模擬踏切で、白杖(はくじょう)や足裏などで確認できる誘導ブロックの体験調査を実施した。奈良県内の踏切で昨年4月に起きた視覚障害者の死亡事故を受けた対応。踏切内の誘導ブロックの設置パターンは全国的な基準がなく、国交省は調査内容を踏まえ、早ければ年内にも基準となる形を選定し、全国で誘導ブロックの設置を進める方針。

同省は昨年6月、「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を改訂し、踏切内は「表面に凸凹のある誘導表示を設けることが望ましい」と明記。誘導ブロック設置に向けてワーキンググループ(WG)を設置し、基準となるブロック形状の検討を進めている。今年9月には国土技術政策総合研究所(つくば市)で予備実験を行い、4種類の形状パターンを選定していた。

この日は、模擬踏切に約5.5メートルの誘導ブロックを設置。かまぼこ形や台形、線状形、点状形などのブロックを組み合わせた4種類のパターンで、視覚障害者と車いす利用者が円滑に通行できるか確認した。

新パターンのブロックを歩いた県視覚障害者協会理事長の軍司有通さん(73)は、普段は踏切を使わず、駅の連絡通路を利用するという。新パターンについては「かまぼこ形やエスコート用の点状表示があれば、身近な踏切を渡れると思う」と話した。

同省は今後、調査のヒアリング結果を分析し、WGに提出。パブリックコメントなどを経て、基準となる形をガイドラインに盛り込む方針。

同省道路局企画課の大西良平課長補佐は「当事者の意見を聞きながら作っていきたい」と語った。

踏切は全国約3万3千カ所にある。同省はこのうち344カ所を「特定道路」に指定し、優先的に誘導ブロックの設置対策を進める。

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