どんな展開を予想しますか?キーマンは誰?【静岡三国決戦ファイナル直前!担当記者&ディレクター座談会①清水と磐田の現在地】 

サッカーJ1昇格を懸けた「J2第38節 清水エスパルス−ジュビロ磐田」の“静岡三国決戦ファイナルラウンド”が10月7日、IAIスタジアム日本平(静岡市清水区)で行われます。勝ったチームがJ1昇格に大きく前進する戦いを前に、SBSテレビと静岡新聞社の両クラブ担当のディレクターと記者が語り合いました。座談会1回目のテーマは「両クラブの現在地」。【全3回の1回目/#1/#2/#3

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◇SBSテレビ「みなスポ」清水エスパルス担当 村田哲久/ジュビロ磐田担当 尾崎文哉
◇静岡新聞社運動部 清水エスパルス担当 市川淳一朗/ジュビロ磐田担当 名倉正和

清水エスパルスが抱える課題

ーまずはエスパルスから。藤枝MYFC戦の敗因についてどう考えますか?

市川記者(清):藤枝の守備ブロックを崩しきれませんでした。藤枝に中央のスペースを埋められて、なかなか攻略の糸口を見つけられなかった。先制されて焦りが生じ、2点目もミスが絡んで失点。リズムが狂ってしまいました。

村田ディレクター(清):藤枝−清水戦はピッチレベルで見ていました。抽象的な表現になってしまいますが、重たい空気を感じました。動きの部分でもメンタルの部分でも。推進力がいつもより見られなかった気がします。

ー清水はがっちり守ってくる相手には弱い?

市川記者(清):苦労している印象です。エスパルスは総得点がリーグ2位ですが、劣勢の展開から勝ち越しまで持ち込めた試合は限られている。

先制すれば強いし、そこで複数得点を稼げるんですが、先手を取られた状況の中では、盛り返す力が十分にあるとは言いきれない。チームの総得点数ほど、常に点が取れるという状況ではないように思います。

村田ディレクター(清):実は「決め切る」という部分に関しては、ずっと悩みの種になっているんだろうと。個人技に頼る部分が大きいという課題はリーグ戦終盤になっても残っているように思います。

ー乾貴士選手1人に頼るのは難しくなっているのでしょうか?

村田ディレクター(清):それでも、乾選手がキーマンであることに変わりはないと思います。

市川記者(清):エスパルスはピッチに立った選手同士がつながり合いながら攻撃する。乾選手はボールを預ければ収まるし、動けばパスが出てくるので、チームが円滑に前進できる側面があります。乾選手のような軸がいなくなると、やや停滞しがちです。

ジュビロ磐田は「山田のチーム」

ー逆にジュビロ磐田は足踏みが続いていたのに、前節長崎戦を1−0で勝利。勢いを取り戻したように見えます。

名倉記者(磐):山田大記選手が戻ってきたのが大きいです。山田選手はそれほどスピードはありませんが、空いたスペースにスルスルっと入り、攻撃にリズムをもたらしてくれます。要所で縦パスがポンポン入り、ラインを押し上げることができる。彼がいなくなると本当にリズムが変わる。守備の指示も出してるし、今は山田選手のチームですね。

尾崎ディレクター(磐):僕は、山田選手の存在感も大きいと思いますが、上原力也選手が戻ってきたのも大きいなと感じています。両サイドにボールを散らせる上に、山田選手への縦パスも入れられる。上原選手が縦に入れたところで攻撃のスイッチが入るみたいな。

ー長崎戦に勝ったことで、チームの雰囲気は変わりましたか。

名倉記者(磐):そうですね。ただ、岡山戦でけがをした松原后選手がエスパルスとのダービーで出れるかどうか分からない微妙な状況ということもあり、一気に明るくなったという感じではないかも。

どんな展開になりそう?

ー両チームとも明確なスタイルがあるわけではなく、横綱相撲で戦ってきた感じがします。どんな展開を予想しますか?

名倉記者(磐):1‐1か0‐0のドロー…(笑)。磐田はセットプレーからチアゴサンタナ選手に決められて、試合終盤に混戦の中でジャーメイン良選手が決めて。

市川記者(清):それって昨季の静岡ダービーのデジャブでは(笑)

ーなぜ引き分け予想?

名倉記者(磐):磐田は攻めようとはすると思いますが、松原選手が出場できず、小川選手が入った場合はバランスを取るタイプなのでディフェンシブ気味になるかも。清水が押し気味に試合を進めて、磐田が安定したブロックを敷いてという流れも想定されます。手堅いというか、お互い攻めあぐねてずるずる終盤までいく展開はあるかもしれません。

ースコアレスドローも?

村田ディレクター(清):ここぞという大一番ではよくあることですよね。

ー互いに攻め合う真っ向勝負を期待したいのですが。

市川記者(清):相手が積極的に前に出てくるチームだったら、清水はすごく相性は良い。ただ、磐田はおそらく慎重に試合を進めてくるので、分が悪くなる展開も想定されると思っています。

名倉記者(磐):磐田の横内監督は常に「0-0の時間を長くしたい」と言っています。

尾崎ディレクター(磐):磐田には後半に古川陽介選手、後藤啓介選手が出てきて点が取れるんじゃないかという空気が出てきますからね。たとえ0−1になってもひっくり返せるんじゃないかという雰囲気があります。

◇経歴
<村田哲久>
SBSテレビ「みなスポ」を担当して7年目。清水エスパルスは通算5年ほど取材している。39歳。藤枝市出身。

<市川淳一朗>
静岡新聞・清水エスパルス番記者歴4年目。日本代表担当も兼務し、特派員として2022W杯カタール大会を取材した。39歳。静岡市清水区出身。

<名倉正和>
静岡新聞・ジュビロ磐田の番記者として2年目。2010広州アジア大会や2021東京五輪など国際大会の取材経験も豊富。44歳。浜松市北区出身。

<尾崎文哉>
入社3年目。SBSテレビ「みなスポ」のジュビロ磐田担当。河井陽介選手らに憧れて藤枝東高に入り、2015年度には左サイドバックで全国高校選手権出場。25歳。静岡市出身。

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