アジア大会自転車「金」 小原、地元青森県で「パリ五輪でメダル」宣言

アジア大会金メダル獲得報告会で、ファンと記念撮影に臨む小原=5日、サテライト六戸

 中国・杭州アジア競技大会の自転車トラック種目(男子チームスプリント)で金メダルを獲得した小原佑太(27)=青森県階上町出身、日本競輪選手会=が5日、東奥日報の取材に応じ、出場が有力視される来年のパリ五輪に向けた強い思いを明かした。「日本代表として出場し、応援してもらえるようになりたい。メダルを取りたい」。10カ月を切った夢の舞台へ向け、さらなる成長を誓った。

 9月下旬のアジア大会では予選を2位のタイムで通過し、1回戦は勝利。決勝は3走・小原の力走もあって強豪の地元中国を0秒034差で振り切り、大会新をたたき出した。「あんなに重い金メダルはかけたことがない」。五輪への弾みがつく栄冠を笑顔で振り返った。

 自転車との出合いは八戸工大一高校時代にさかのぼる。高校時代は「無名中の無名」で、目立った成績を残せなかった。「日本一になってから自転車をやめても遅くない」。父修二さん(67)に背中を押され、朝日大学(岐阜県)に進学すると頭角を現した。大学3年時に右膝を骨折する大けがを負い、選手生命の危機にも立たされたが、好きな「不屈」という言葉を信じ、半年のリハビリを経てカムバック。競輪学校に進み、競輪選手として花を咲かせた。

 「五輪を目指すとは思わなかった。てっきり実家で父が営む車の修理工場を継ぐと思っていた」。現在の立ち位置を信じられないように話す。「自転車は生きがいであり、自分を表現する方法の一つ。引っ込み思案だった自分を変えてくれた」とかみしめるように言った。

 現在、小原が参戦している男子チームスプリントは熾烈(しれつ)な五輪出場枠争いが繰り広げられている。出場できる国は「8」で、日本は5位(6月時点)。この順位を来年春まで維持できれば出場が決まる。その後、国内の選手選考が行われるが、連係が鍵を握る団体競技なだけに、けがなどがなければ小原を含めた現在のメンバーがそのまま選ばれる可能性が高い。

 「オリンピックでメダルを取りたい。皆さんの前で再び報告できるように頑張りたい」。この日、六戸町の場外車券販売施設「サテライト六戸」で行われたアジア大会金メダル獲得報告会で宣言した小原。競輪ファンと記念撮影に応じるなどつかの間の交流を楽しみ、激戦の疲れを癒やした様子だった。

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チームスプリント 一チーム3人(女子は2人)で編成され、3周のタイムトライアルで競うレース。1周ごとに先頭の走者が離れ、最後の1人がゴールしたときのタイムで勝敗が決まる。瞬発力が求められる1走、さらにスピードを上げる役割を担う2走、トップスピードを維持したままゴールする持久力が必要な3走-と脚質が異なる選手がチームを組むのが特徴。

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