連載コラム【MLBマニアへの道】第4回:2020年アロザレーナ 2022年ペーニャ 今季もルーキーがポストシーズンを彩る?

写真:2試合連続逆転勝利の口火を切ったダイヤモンドバックスのキャロル

いよいよポストシーズンが始まった。162試合の長いシーズンの集大成として、12チームがワールドシリーズ優勝を巡って争うが、ポストシーズン開幕からたった2日でワイルドカードシリーズが終了。残るは8チームとなった。2勝先勝方式のワイルドカードシリーズは、4カードいずれも2連勝のスイープで決着。レイズ、ブルージェイズ、ブリュワーズ、マーリンズの4チームが姿を消している。

今回のワイルドカードシリーズでは、勝利したチームのルーキーの活躍が印象に残った。

レンジャーズのジョシュ・ヤング(25)とエバン・カーター(21)はそれぞれ「8番・三塁」と「9番・左翼」で出場。ヤングは昨年デビューし、今季は23本塁打を記録した新人王候補の一人だ。ワイルドカードシリーズでは1試合目に先制の犠牲フライを放つと、2試合目にはタイムリー三塁打に2本の二塁打と長打を連発した。

9月8日にメジャーデビューしてからまだ1ヵ月足らずのカーターは1試合目で全4打席出塁し盗塁も記録。守備でも素晴らしいダイビングキャッチを披露した。2試合目には3打席で出塁した上、2ラン本塁打も記録。ヤングとカーターは8番打者と9番打者でありながら、この2試合で2人あわせて6本の長打と4打点を挙げたことになる。この2人が塁に出れば、1番にマーカス・セミエン、2番にはコリー・シーガーと今季リーグ有数の活躍を見せた打者に回るのだからレンジャーズ打線は恐ろしい。

ツインズのロイス・ルイス(24)も大仕事をやってのけた。9月半ばにハムストリングスを痛め、怪我からの復帰試合となったワイルドカードシリーズ1試合目で「3番・DH」に座ると、初打席から2打席連続本塁打という衝撃のポストシーズンデビュー。ツインズはルイスの挙げた3得点のみで初戦勝利。2試合目もロースコアの展開で守り切り、2002年以来21年ぶりのシリーズ突破を果たした。

ダイヤモンドバックスのコービン・キャロル(23)も大暴れしている。「1番・右翼」で出場したワイルドカードシリーズ初戦、序盤に先制される苦しい展開ながら、反撃の口火を切る2ランを放った。2試合目も1点ビハインドの場面で二塁打を放ちチャンスを拡大すると、その後のケテル・マルテのタイムリーで逆転のホームを踏んだ。いずれもキャロルが打った直後に同点、逆転へと持ち込んでおり、リードオフマンとして最高の仕事をしている。

近年のポストシーズンでは、ルーキー野手が「シリーズ男」になることが増えてきた。2020年レイズのランディ・アロザレーナや2022年アストロズのジェレミー・ペーニャの活躍はまさにチームを導いたと言って差支えないものだろう。

アロザレーナは2020年、ワイルドカードシリーズから打ち続けリーグチャンピオンシップシリーズではMVPも獲得し、チームのワールドシリーズ進出に大きく貢献した。ワールドシリーズでは敗れたが、ポストシーズン新記録となる10本塁打を記録。歴史に残る大活躍だった。

昨年のペーニャはリーグチャンピオンシップシリーズ、ワールドシリーズでそれぞれMVPを獲得する活躍でワールドシリーズ制覇に貢献。ワールドシリーズMVPはルーキー野手として史上初だった。

今季のポストシーズンは注目のルーキーが多いこともあり、アロザレーナやペーニャのようにシリーズを象徴する活躍を見せる選手が出てくるかもしれない。10月7日(日本時間8日)から始まるディビジョンシリーズでは、オリオールズのガナー・ヘンダーソン(22)やアストロズのヤイナー・ディアス(25)、ドジャースのジェームス・アウトマン(26)ら注目のルーキーがさらに登場する。チームの勝敗はもちろん、ルーキーの活躍も大注目のポストシーズンになりそうだ。

文=Felix

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