ブギウギ第1週振りかえり・ワテ、歌うで!

大ヒット曲『東京ブギウギ』で知られる昭和の歌姫・笠置シヅ子さんをモデルに、大阪の下町育ちのヒロインが、やがて戦後の日本を明るく照らすスター歌手へと成長していく姿を描く連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK朝ドラ)。10月7日は、「ワテ、歌うで!」と題する第1週(10月2日〜6日放送)を振りかえる。

「日帝劇場」にて、『東京ブギウギ』を歌う福来スズ子 (趣里)(C)NHK

■ 大阪育ちの少女が、スター歌手となるまでの物語

物語は、昭和23年(1948年)の戦後まもない東京から始まる。ヒロイン・花田鈴子(趣里)は、女手ひとつで娘を育てる未婚の母でありながら、歌手・福来(ふくらい)スズ子として「日帝劇場」の華々しいステージに立つ。作曲家・羽鳥善一(草彅剛)の指揮で、全身を使って『東京ブギウギ』を歌い踊るスズ子の姿に、大勢の観客は夢中になっていた。

はな湯にて、歌を歌うヒロイン・花田鈴子 (澤井梨丘、のちの趣里)(C)NHK

時はスズ子の少女時代に遡り、大正15年(1926年)。大阪・福島にある銭湯「はな湯」に生まれ育った鈴子(澤井梨丘、のちの趣里)は、まもなく小学校を卒業する天真爛漫な少女だ。香川出身の父・梅吉(柳葉敏郎)と母・ツヤ(水川あさみ)が営む「はな湯」は、住民たちの憩いの場。看板娘の鈴子は幼い頃から歌い踊ることが大好きで、家族や個性的な常連客たちの前で歌を披露するのが日課だ。

■「この世はな、義理と人情でできてんねん」

ある日、鈴子は、常連客・アホのおっちゃん(岡部たかし)だけがいつもタダで銭湯に入れていることが気になる。母・ツヤにその理由を聞くと、銭湯を開店して最初のお客さんのアホのおっちゃんは、銭湯を営むやりがいを感じさせてくれた恩人で義理があるのだという。「義理を返すのが人情だ」と語る母の言葉に影響された鈴子は、自分も親友・タイ子(清水胡桃)へ「義理」を返そうと思い立つ。

銭湯「はな湯」の看板を見る母・ツヤ(水川あさみ)と鈴子(澤井梨丘)(C)NHK

そこでタイ子の片思いを成就させようと奔走する鈴子だが、お節介が逆にタイ子を困らせてしまう。芸者の母を持つタイ子が周囲の視線を気にしていると知り、「堂々とすればええ。バカにする方がアホや」とツヤに相談する鈴子だが、「誰もが言われると心底つらいことが一つや二つあるもんや。それを気にせんでええ、軽くいうんは違うとお母ちゃんは思う」と諭される。

母の言葉を受けて「ワテ嫌なこと何にもないわ!お母ちゃんのおかげやな!」と無邪気に笑う鈴子に、ツヤは少しの間黙り込んでしまう。愛情深く鈴子を見つめるツヤは、12年前の記憶を思い返す。縁側に座るツヤが鈴子と思しき赤ん坊を抱きながら、そばにはもう1人赤ん坊が寝かされており、その背後には憔悴した女性(中越典子)が座っているのだった。

■ 歌劇団への憧れ、花咲音楽学校を受験

翌日、反省して素直に謝った鈴子はタイ子と仲直りする。仲直りに2人で出かけた天神祭で、鈴子は西洋の歌と踊りを取り入れた人気の歌劇団「花咲少女歌劇団」の存在を知る。年が明けて、昭和元年(1926年)。小学校の卒業を目前に控える鈴子たちは、卒業後の進路について話し合う。自分は実家の銭湯を継ぐものだと思っていた鈴子だったが、次第に自分の将来について悩み始める。

花咲音楽学校の入学試験を受ける鈴子(澤井梨丘)(C)NHK

思い悩む鈴子だったが、ツヤの「自分がこれやと思うことで生きていくんや」という言葉や、常連客・ゴンベエ(宇野祥平)からかけられた「鈴子の歌が好きだ」という言葉に、「自分は歌と踊りでみんなを笑顔にしたい」という思いが芽生えていく。歌と踊りを仕事にできる「花咲音楽学校」に行きたいと決意した鈴子は、次の日から稽古に励み、いよいよ花咲音楽学校の試験当日を迎えて・・・。

本作は、人気作曲家の指導を受けて歌手となったヒロインが、戦争による苦難や愛する人との別れを経験しながらも、「ブギの女王」と呼ばれるスター歌手となって激動の時代を生き抜いていく物語。放送は、NHK総合で朝8時から、またBSプレミアム・BS4Kでは朝7時半からスタート。土曜日はその週の振りかえり。

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