渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助が横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に出演決定

横浜流星が主演を務め、2025年にNHK総合ほかで放送される大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(つたじゅうえいがのゆめばなし)」(日時未定)の新キャスト発表会見が行われ、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助と、主演の横浜が登壇した。

親なし、金なし、画才なし…ないない尽くしの生まれから、喜多川歌麿や葛飾北斎などを見いだし、“江戸のメディア王”として時代の寵児(ちょうじ)になった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜)の生涯を笑いと涙と謎に満ちた物語として描く「べらぼう」。脚本は、NHKで、大河ドラマ「おんな城主 直虎」や連続テレビ小説「ごちそうさん」、ドラマ10「大奥」など数多くのヒット作を手掛けてきた森下佳子氏が担当する。今回発表されたのは、蔦重の人生に大きな影響を与える人物を演じる4人だ。

渡辺が務めるのは、足軽身分の出自から大名まで成り上がった“希代の老中”にして、絶対的権力者の田沼意次。渡辺は「まずこの話をお伺いした時に、脚本家が森下先生だったので。『ごちそうさん』で娘(杏)がお世話になったので、そのご恩返しをしたいなと思いました、資料を見たら染谷はもう5本目(の大河ドラマ出演)。俺の年の半分でもう5本もやっていて、俺も6本目なのに」と笑いつつ、「メディアが分散する中で、よくても悪くても大河ドラマは話題になる仕事だと思っています。表題ではないですが、『てやんでぃ、べらもうめ!』という感じで、1年間を走り抜けたいと思っています」と気合を入れる。

演じる田沼意次については、「低い身分から出世を重ね、老中にまで駆け上がった人物。彼はそれまでの政治とは一線を画して、経済に重きを置いた国に変えていくという、非常な先見性を持っていた政治家であったことは、プロットを拝見した時に、私自身、大きな発見でした。『おぬしも悪よのぉ』という意次に対する皆さまのイメージを払拭して、全く違う人物像をお届けできればと思っております。蔦重とは身分が異なる間柄でありながら、ドラマの中でどのような接点を持つことになるのか。クランクインが今から待ち遠しいです」とコメント。

本作は、戦も捕物帳もない作品となるが、「日常の延長戦上にある作品で、時代劇のようであって時代劇でない。しかもエンターテインメントに関わる人間たちの物語。見てくださる方の生活のすぐ近くにある大河ドラマになるべきかなと思っています。自分も難しい役を演じますが、その中での日常性だったり、普通の人間として、何に苦しみ、何をいつくしんでいるのかということを、みんなと一緒に作っていけたら」と思いを述べた。

染谷は、蔦重の生涯の友であり同志である、美人画で江戸に旋風を巻き起こした天才絵師・喜多川歌麿役を担う。染谷は「喜多川歌麿の足跡については、史実としてはっきり残っていない部分も多いため、本当に想像力をかき立てられる役ですし、ある種自由に演じられる役柄なのかなと受け止めています。現代を生き抜くわれわれと通じる部分がたくさん登場する、おとぎ話ではない物語。元気をもらえる、応援してもらえる作品だと思っています」と役柄と作品について触れる。

そして、「蔦重さんとの関係がキーになると思う。戦友として、共に困難に立ち向かう場面も多くなると思いますが、全く新しい歌麿像の構想が練られていると伺っていますので、今から撮影が楽しみです。クランクインまでの間、歌麿が描いた作品を見つめながら、彼としっかり向き合っていきたいと思っています」と役柄への思いを巡らせた。

大河ドラマ初出演となる宮沢が演じるのは、田沼意次の嫡男・田沼意知。田沼権勢の象徴として、若くして若年寄に昇進し、異例の出世をとげる意次の後継者にして、悲劇のプリンスだ。宮沢は「以前“朝ドラ”(「ちむどんどん」)に出演した時に、隣のスタジオで撮影している大河ドラマの別世界に行かれる皆さんの姿を見ていて、ずっと心のどこかでうらやましいなと思っていたので、こうして大河ドラマへの出演が決まったことを大変うれしく思っています」と声を弾ませる。

さらに、「意知は日本の明るい未来のために、いろんな活動をしてきた人物。若くして役職を得ていたので、周りからよく思われない面もあったそうですが、強い信念を持って、日本の明るい未来のために生きてきた。プロデューサーからは『プリンスのような存在であってほしい』というお話も伺ったので、スマートで、どこかチャーミングな部分もあるプリンスのような意知を演じられるように頑張りたいと思っています」と意欲を燃やす。

加えて、「映画『レジェンド&バタフライ』(2023年)で初めて時代劇に挑戦して、時代劇の難しさや、その中にある魅力にも気付けました。今回もそこを突き詰めたいなと思っていますので、『べらぼう』が代表作と言える作品になれるよう、頑張りたいです」と力を込め、物語に関しては、「エンターテインメントの発信方法が増えている中で、表現の自由があるかと問われたら必ずしもそうでない気がしていて。それは蔦重さんの時代もそうで、いろんな制限や決まり事の中で表現していく苦しさがあったと思うのですが、それは現代にも通じるものだと思うので、見てくださる方にはそのあたりを共感してもらえると思います」と語った。

愛之助が扮(ふん)するのは、蔦重にとって本屋商売の“師”であり、業界最大の“敵”となる鱗形屋孫兵衛。蔦重に初めて本格的な本作りの仕事を任せるなど、商売の基礎を指南。やがて蔦重が本格的に本屋業に乗り出すと一転、ライバル関係となり、激しい争い繰り広げていく人物だ。

愛之助は「“うろこがたやまごべえ”と、かみそうな名前の、自分もあまり知らない人物。今作のお話を聞いた時に『どのような人物だろう』と鱗形屋孫兵衛について調べたのですが、検索してもなかなかお顔も出てこないような方。恐らくご存じない方も多いのではと思います。そういう意味では皆さまの頭の中に映像がないので、自由に務められるなと思っています。また、孤独な家族のいない蔦重にとって、兄のような父のような存在であり、最初は本屋商売の師匠でもあります。そして後にライバルとなっていく…というお役なので、大きく後ろから見つめながら、追い越されていくのか、私もどう演じようか楽しみにしております」と役柄への知識を深めながら、撮影に向け気持ちを高めている様子。

大河ドラマには、16年の「真田丸」、20年の「麒麟がくる」、22年の「鎌倉殿の13人」に続く4度目の出演となるが、「大河ドラマには、いい感じで“出て休んで、出て休んで”と出演させていただいて。ある意味ライフワークというのは大げさで恐れ多いですが、いいペースで出演させていただいているので、これからも出演させていただけるように頑張りたいと思います」と笑顔を見せた。

今回の出演者発表を受け、横浜は「蔦屋重三郎の人生に大きな影響を与える人物をすてきな皆さまに生きていただけることとなり、うれしく思っております。制作スタッフの皆さんとは、作品についてこれまでもいろいろと話を重ねてきましたが、こうして共演者の皆さまと顔を合わせると実感が湧いてきますし、喜びや責任感も強く感じて、身の引き締まる思いです」と率直な心境を明かし、「史実はあっても、残っている史料が多くないからこそ、自由に。そしてオリジナル脚本なので、想像を膨らませながら、それを飛び越えるような作品を皆さまと共に作っていけたらいいなと思っております」と、あらためて気を引き締めた。

また、戦も捕物帳もない物語となるが、「(だからこそ)人間模様を濃く描ける。エンタメは必要なのか?という問題もありましたが、今だからこそ描くべき作品だと思います。風紀が厳しくなる中、世の中に楽しみやワクワクするものを届け続けた蔦屋の姿を通して、自分の中では、エンタメの在り方を再確認できるなと感じていますし、新たな作品をお届けできるのではないかと思っています」と、作品の意義について自身の思いを口にした。

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