江戸、明治期の海運を担った北前船ゆかりの地が交流する「第33回北前船寄港地フォーラムinOKAYAMA」の本会合が6日、岡山市内で開かれた。北前船が岡山の産業や文化に残した足跡を振り返るとともに、広域観光の方策について話し合った。
同フォーラムの岡山県内での開催は2017年に続き2回目。今回は「北前船と吉備の穴海~海と川が織りなした文化・産業~晴れの国・岡山から世界へ」をテーマに、22都道府県から自治体や企業のトップら約380人が参加した。
トークセッションで伊東香織倉敷市長は、北海道から北前船で同市に運ばれたニシンかすが綿花の栽培に使われ、その後の紡績業の繁栄に結びついたことを紹介。「北前船の交易が倉敷の文化や産業を発展させてくれた。この絆を今後の交流につなげていきたい」と呼びかけた。
今フォーラムの実行委会長を務める松田久・岡山商工会議所会頭は、岡山市東区西大寺地区に残る絵図や文献から、同地区にも北前船が寄港した可能性を指摘し「(北前船に関する)日本遺産に登録すべきだ」と強調。大森雅夫市長は、造山古墳群(同市北区新庄下)などを市の観光振興に生かしていることを踏まえ「古代吉備に大和(王権)に匹敵する国があったことを知ってほしい」とアピールした。
岡山、広島など瀬戸内海沿岸7県の官民でつくる「せとうち観光推進機構」の坂元浩専務理事は、江戸期に朝鮮通信使が寄港した瀬戸内市牛窓町地区などを海路で巡るツアーを計画していると説明。「海外から来る富裕層を地方にも呼び寄せたい」と力を込めた。
次回のフォーラムは来年6月、北海道で開かれる。