今秋の「ちょっと変わった」ミステリー映画3選! フランソワ・オゾン最新作『私がやりました』ほか驚きの仕掛け満載の注目作を要チェック

『私がやりました』© 2023 MANDARIN & COMPAGNIE - FOZ - GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA - SCOPE PICTURES – PLAYTIME PRODUCTION

数ある映画のなかでも、一度ハマったら抜け出せないのが「ミステリー」。登場人物と一緒に謎解きすることで物語の中に入り込むことができ、圧倒的な没入感を味わえる魅惑のジャンルだ。ということで、この秋に公開される“一風変わった”新作ミステリー映画をご紹介したい。

2023年11月3日(金・祝)公開のフランソワ・オゾン監督最新作『私がやりました』を筆頭に、「普通のミステリーじゃ物足りない!」というミステリー玄人をも驚かせる、どれも斬新な設定の作品ばかり。ミステリーの新たな魅力を発見できる3作品にぜひご注目を。

みんな犯人になりたがる!? お洒落でブラックユーモアたっぷり『私がやりました』

2023年、監督作3本が日本で公開を迎えるフランスの名匠フランソワ・オゾン。手掛ける作品すべてが高く評価されてきた人気監督が新たな題材に選んだのは、ユーモアとブラックユーモアに溢れたクライムミステリーだ。

――有名映画プロデューサー殺人事件の容疑をかけられ、法廷に立たされた売れない若手女優マドレーヌは、ルームメイトの若手弁護士ポーリーヌが書いた正当防衛を主張する完璧なセリフを演じ、無罪を獲得。それどころか悲劇のヒロインとして、アッという間に大スターの座へと駆け上がる。しかし、そんな彼女たちの前に現れたのは、かつて一世を風靡するも今では目にすることもなくなった大女優オデットだった。オデットは「自分こそが、プロデューサー殺しの真犯人」で、マドレーヌが手にした富も名声も自分のものだと言うのだ。こうして、女優たちによる「犯人の座」をめぐる駆け引きが始まるが……。

誰もが「自分はやってない」と言い張るのがミステリーの定石。ところが本作は“犯人の座”を巡って、年齢も性格も異なる女性3人が「私がやりました」と駆け引きを繰り広げる一風変わったストーリーがキモになっている。また、ベテランキャスト陣が見せるコミカルなやりとりも話題を呼び、本国フランスでは過去にオゾンが手掛けた映画『8人の女たち』(2002年)、『しあわせの雨傘』(2010年)に次ぐ、動員100万人超えの大ヒットを記録した。

主人公のマドレーヌとポーリーヌ役には、ピュアな魅力が眩しいナディア・テレスキウィッツと、レベッカ・マルデール。正反対の性格の2人を魅力的に演じ、チャーミングな凸凹コンビを作り上げた。また、フランスの国民的女優イザベル・ユペールが2人の前に立ちはだかるヴィラン、オデットを圧倒的な個性で演じている。

オゾン自ら、「『8人の女たち』、『しあわせの雨傘』に続き、女性の生き方を魅力的に探究した3部作の最終章」であると語る本作は、これまでの作品のポリシーを受け継いだポップでお洒落なルック、そしてその見た目とは裏腹に現代社会をチクリと皮肉る粋なユーモアも健在。ユニークな展開を構築し、名匠の手腕を再発見させられる極上のミステリーに仕上がっている。

『私がやりました』は2023年11月3日(金・祝)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー

© 2023 MANDARIN & COMPAGNIE – FOZ – GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA – SCOPE PICTURES – PLAYTIME PRODUCTION

かの有名な童話キャラクターが難事件に挑む!? Netflix映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』

青柳碧人の同名小説を、『今日から俺は!!』シリーズの福田雄一監督が実写映画化。世界を知るために冒険の旅に出た赤ずきんが、旅の途中で出会ったシンデレラとともに舞踏会に行く途中、まさかの殺人事件に遭遇する……というストーリーだ。

赤いずきんを被った少女・赤ずきんは、旅の途中に灰だらけの少女・シンデレラと出会う。魔法使いに素敵なドレス姿に変えてもらい、舞踏会へ向かったふたりだったが、カボチャの馬車で男をひき殺してしまう。バレないようにとさっさと死体を隠し、ふたりはお城の舞踏会へ。シンデレラと王子様が恋に落ちたのも束の間、死体が見つかり舞踏会は中断。絶体絶命のふたりの前に次々と現れる曲者証言者たちの中に、真犯人の影が。赤ずきんが、持ち前の洞察力と図々しさで事件に立ち向かっていくが……!?

昔話や童話をベースにしながら大胆なアレンジを加えた原作小説は本格ミステリーとしても楽しめるが、ファンタジー&ミステリー&コメディという、誰も見たことがない新たなジャンルが誕生した。本作は配信後、Netflixの週間グローバルトップ10(映画・非英語部門)で初登場1位を獲得している。

Netflix映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』 Netflixで独占配信中

見どころはヘアスタイル!?人々の“噂”から謎を解き明かしていくゴシップ・ミステリー『メドゥーサ デラックス』

舞台は年に一度の美容師コンテスト。開催直前、優勝候補と目されていたスター美容師が変死を遂げた。奇妙にも頭皮を切り取られた姿で発見されたのだ。会場に集まっていたのは、今年こそ優勝すると誓って準備を進めていた美容師3人とモデルたち4人。さらに主催者や恋人、警備員らを巻き込みながら、事件や人間関係に関する噂をひそひそと囁きはじめる――。

気鋭の製作・配給会社「A24」が北米配給権を獲得し、世界の映画祭で話題をさらってきた注目作。殺人事件の顛末をワンショット撮影で描くこともチャレンジングだが、事件のヒントはすべて登場人物が話す噂の中に隠されており、警察や名探偵のキャラクターは登場せず観客が真相を追求する当事者となるという構図が面白い。

さらには、事件が起きた舞台が奇抜なヘアスタイルの美しさと技術を競う美容師コンテストだけに、“ヘアスタイルが見どころ”という点も風変わり。美容師の親を持ち、美容院で育った新鋭監督トーマス・ハーディマンが描く、英国発“ゴシップ・ミステリー”だ。

『メドゥーサ デラックス』は2023年10月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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