南部弁 津軽弁 熱い激突/14、15日 与那国島で「方言サミット」/二人芝居上演「楽しんで」

方言サミット与那国島大会で二人芝居を披露する柾谷さん(左)と長谷川さん=9月30日、青森市

 10月14~15日に沖縄県・与那国島で開かれる「危機的な状況にある言語・方言サミット」に、南部弁の保存・継承に尽力してきた八戸市公民館長の柾谷(まさや)伸夫さん(75)と、青森市で浪岡演劇研究会を主宰する長谷川等(ひとし)さん(76)が出演し、南部弁と津軽弁の二人芝居を上演する。本番を前に2人は熱の入った稽古に汗を流している。

 サミットは文化庁、沖縄県、与那国町などが共催。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が2009年に消滅の危機にあると報告したアイヌ語、奄美大島(鹿児島県)、与那国島(沖縄県)の方言など地域言語の保存・継承を目指し、15年度から毎年開催されている。

 同サミットでは言語・方言の現状説明や地域での取り組み事例の紹介、各方言の聞き比べなど多様なプログラムがあり、柾谷さんと長谷川さんは「聞き比べ」と「表現披露」に参加。柾谷さん作・演出の南部弁と津軽弁が激突する二人芝居「こっただ面接ある訳(わげ)ァねえ~津軽弁と南部弁の面接バトル勃発(ぼっぱつ)!!~」を披露するとともに、地方の視点から方言が持つ役割や価値について問題提起する。

 「こっただ-」はシニア世代の再就職をテーマに長谷川さんが面接官役、柾谷さんが求職者役を掛け合い的に演じる。青森市浪岡の長谷川さん宅で行われた9月30日の初稽古では、それぞれの出身地の観光名所やご当地自慢などをディープな津軽弁と南部弁で紹介し合う場面を繰り返し確認。舞台上での効果的な見せ方などについて入念に話し合った。

 稽古後、長谷川さんは「方言サミットに参加するのは初めてなので緊張している。当日は字幕がないので、地元の人に自分の津軽弁は分かりづらいかもしれないが、独特のイントネーションやアクセントを単純に音として楽しんでもらえればうれしい」と意気込みを語った。

 柾谷さんは同サミットへの参加は5回目となる“常連”だ。見どころについて「今回のサミットでは津軽弁との絡みを芝居風に表現するが、初めての試みでわくわくしている。同じ単語でも南部弁と津軽弁では意味が異なる場合があるので、そうしたすれ違いの面白さなどを感じてもらえれば」と話している。

 「こっただ-」はサミット初日の14日午後、与那国町立久部良(くぶら)小学校の体育館で上演される。

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