風吹き荒れる「入門の山」、栃木 岩場続きの朝日岳、避難場所なく

登山道付近で男女4人の遺体が見つかった栃木県那須町の朝日岳=7日午後(共同通信社ヘリから)

 遭難したとみられる男女4人の遺体が見つかった栃木県那須町の朝日岳は都心からのアクセスがよく、登山口から3時間程度で標高2千メートル近い山頂にたどり着く「入門向けの山」として人気が高い。一方、現場付近は強風が吹きやすく、岩場の稜線が続く。登山ガイドは「危険な状況になっても逃げ込める場所がない」と話し、“落とし穴”の存在を指摘する。

 現場の登山道は風が強いことが多いが、遮る森林はないという。日光・那須山岳ガイド協会の登山ガイド芝田信久さん(66)は「直接風を食らってしまう」と話す。ガイド中、「これ以上は危ない」と判断し、引き返したことが何度もあると振り返る。

 こうした状況下でも登山を続ける人はいるという。今年5月には男女2人が強風で下山できなくなり、警察に救助された。難易度の高い山ではないが、天候の判断を誤れば事故につながる恐れがある。

 最近まで猛暑が続いたため、夏用の装備で登る人も多いが、栃木県内の山は既に雪が降っているところもあり、芝田さんは「冬用の装備が絶対に必要だ」と語った。

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