【MLB】番狂わせもありえるか? レンジャーズ対オリオールズの地区シリーズプレビュー!

写真:オリオールズ躍進の象徴と言われるアドリー・ラッチマン @Getty Images

明日8日(日本時間)から地区シリーズが開幕。日本時間2:03から第1戦がスタートするのは、ア・リーグの第1シードのオリオールズと第5シードのレンジャーズのシリーズだ。

リーグ最高勝率のオリオールズと、レイズに連勝して勢いづくレンジャーズのシリーズの行方を展望する。

現時点で発表・予想されている先発マッチアップは以下の通り。

第1戦 レンジャーズ:アンドリュー・ヒーニー vs. オリオールズ:カイル・ブラディッシュ
第2戦 レンジャーズ:ジョーダン・モンゴメリー vs. オリオールズ:グレイソン・ロドリゲス
第3戦 レンジャーズ:ネイサン・イオバルディ vs. オリオールズ:ジョン・ミーンズ
第4戦 レンジャーズ:デーン・ダニング vs. オリオールズ:カイル・ギブソン
第5戦 レンジャーズ:ジョーダン・モンゴメリー vs. オリオールズ:カイル・ブラディッシュ

先発マッチアップはややオリオールズが有利か。今季防御率2.83と大ブレイクしたブラディッシュ、後半戦防御率2.58と覚醒したロドリゲスが1、2戦目に先発する。その他にもオリオールズの先発ローテは9月以降好調。第3戦以降はミーンズ、ギブソン、そしてディーン・クレマーの3人のうち、誰がどの試合で投げるか予想するのが難しいほどだ。

対するレンジャーズは9月絶好調だったモンゴメリー、そして9月絶不調に陥っていたイオバルディが最高のピッチングをしてレイズを倒してきた。地区シリーズでもこの2トップにかかる期待は大きいだろう。

その2人が投げられない第1戦、レンジャーズはヒーニーを先発に立てることを発表。今季12勝を挙げたダニングではなく、夏場以降はブルペンに回されていたヒーニーを立てたのは驚きでもある。しかし、ヒーニーはシーズン161試合目に急遽先発し好投、ワイルドカードシリーズでもクロージングの場面で準備するなど、レンジャーズにとって“便利屋”のような存在になっている。第1戦でも通常通りの先発になるのか、それともオープナー/ショートスターターのようにダニングに繋ぐのかは読めず、レンジャーズに戦略的アドバンテージを与えることになるかもしれない。

打線はリーグ有数の強力打線であるレンジャーズに評価が傾くだろう。

マーカス・セミエン、コリー・シーガーの恐怖の1・2番を看板とするレンジャーズ打線だが、ワイルドカードシリーズでは下位打線のルーキーが奮起。8番のジョシュ・ヤン、そして凄まじい打棒を発揮した9番のエバン・カーターがチームに大きな勢いをもたらした。対戦する投手は上位から下位まで一切気を抜けないだろう。

対するオリオールズ打線は、OPSメジャー14位、本塁打数メジャー17位と数字は平凡。ただ、アドリー・ラッチマン、ガナー・ヘンダーソン、アンソニー・サンタンデールら力ある打者が揃っており、プラトーンも活用して迫力不足を補う。

そして最も大きな力量差があるのがブルペンだ。オリオールズは防御率メジャー5位の屈指のブルペンを誇っているのに対し、レンジャーズのブルペンはメジャー最多タイの33セーブ失敗を記録したチームのアキレス腱だ。

オリオールズは絶対的守護神だったフェリックス・バティスタを故障で失ってしまったが、バティスタ離脱後もブルペン防御率はメジャー8位。セットアップとして活躍してきたジャンニエル・カノーを中心に、シオネル・ペレスや有望株のDL ホールが穴を埋めてきた。さらに終盤からはクローザー経験のあるタイラー・ウェルズがリリーバーとしてメジャーに戻ってきており、ブルペンが不安要素になることはない。層が厚いブルペンだが、連投を辞さないタフさを持つ藤浪晋太郎のロスター入りも十分チャンスがある。

ワイルドカードシリーズでは先発が長いイニングを投げたため、レンジャーズのブルペンは登板機会に恵まれなかった。その中でも連投で勝ち試合を任されたホセ・レクラークへの負担は大きくなりそうだ。現実的にはヒーニー、ダニング、そしてマーティン・ペレスらの先発投手を上手く活用してイニングを消化していくしかないだろう。そして、肩の故障で離脱していたマックス・シャーザーが急ピッチで仕上げており、今日の練習では実戦で打者に投球を行った。シャーザーがロスター入りするかどうかは不明だが、もし入ればブルペンからの起用が予想される。そうなれば、レンジャーズのブルペンにとっては大きな追い風になる。

上位シードのオリオールズにとって懸念なのは、ほとんどの選手、そしてブランドン・ハイド監督にとってこれが初めてのプレーオフであるという点だ。ラッチマン、ヘンダーソン、ブラディッシュ、ロドリゲスが重圧で本来の力量を発揮できないようであれば、オリオールズにとっては厳しい。

対するレンジャーズは力量の劣る投手陣を抱えているものの、3度の世界一経験のあるブルース・ボウチー監督、2020年のワールドシリーズMVPのシーガーを筆頭にプレーオフ経験はオリオールズ以上に積んでいる。番狂わせが起こっても不思議のない組み合わせだ。

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