<レスリング>【2023年アジア大会・特集】出場選手の声(最終日)

 

(2023年10月7日、中国・杭州 / 取材=布施鋼治)


 ■男子フリースタイル74㎏級2位・木下貴輪(クリナップ=決勝でイランのヨネス・エマミ・チョガエイに敗れて銀メダル)「課題が全部出た一戦でした。差してくることは分かっていたけど、全然対応できず、そこから自分の攻めの形を崩されてしまった。点数差(0-9)ほどの実力差はないと思いますけど、完封されるような試合になってしまった。攻撃を失敗した後に詰められて差される、という感じでやられてしまった。自分が攻めた後の形をもう少ししっかりできればよかったかな、と思います。

 (地元の鹿児島国体で優勝してから中国に乗り込んできたことについて)コンディション的にはすごくよかった。国体に出ることは、いろんな人に支えてもらっていることをあらためて実感しました。オリンピックの道は断たれてしまったけど、気持ちが折れずに残りの大会をしっかり闘おうと思えたのは、鹿児島国体に出たおかげだと思います。正直、練習にも身が入らなかったときもありました(涙声)。でも、最後にお世話になった方々に恩返ししたいと思い、国体とアジア大会に出ようと思いました。2位ですけど、少しは恩返しができたと思います」


 ■男子フリースタイル86㎏級・白井勝太(クインテット=敗者復活戦でバーレーンのマゴメド・シャリポフに敗北)「何だろうな…。シャリポフは元ロシアの選手だけど、パワーの差がはっきり出た。うまくさばき切れなかった自分が悪い。この階級は、ほかの階級に比べて元ロシアの選手が結構出てきている。そこを勝てないと、上にはいけない。

 敗者復活戦は完全に実力負け。体格でハンディのある外国人選手に対しての対策はしてきたけど、まだ甘かったと思っています。外国人選手の圧力を、どれだけ自分の構えを崩さずにさばいて、動いて入り切るかが一番重要。僕が足を使って横に動こうとしても、相手は構わず圧力をかけてきた」


 ■男子フリースタイル97㎏級・石黒峻士(新日本プロレス職=初戦を突破するも、準々決勝でカザフスタンに2-4で敗北)「もっと攻めたかった。やりづらさはそんなになかったけど、相手の前の手(右手)が邪魔で、リズムが取りづらかった。何とか自分のリズムを作っていこうとしたけど、ちょっと遅かった。

 中国入りしてから試合までが長かったということもあり、気持ちが一度落ちたこともあった。でも一回戦はしっかり勝てて、調子に乗った中で次の試合もできた。(世界選手権同様、初戦の壁は突破)2回戦の壁も突破できないものではない。海外でも勝てることが分かってきた。あきらめずにやり続け、最後はオリンピックに出たい」


 ■男子フリースタイル125㎏級・山本泰輝(自衛隊=初戦を突破するも、準々決勝でウズベキスタンの選手に敗北)「2週間前の世界選手権の反省込みの大会にしようと思っていたけど…。世界選手権までは組み手をずっと練習してきたけど、組み手を中心にしすぎて、自分から攻めることができなかった。点をとることもできなかったので、そこを変えていかなければいけないと思っていました。今回良かった点は、タックルに入って攻めようと思っていたところ(初戦では試合開始早々、相手を場外に押し出して先制点を得ていた)。

 準々決勝では、自分が入ったところにカウンターを合わされ失点していた。相手がタックルに入ったときの圧力に負けない力やテクニックをもっと身につけないといけない。それは一気に身につくものではない。1日1日、積み重ねていくしかない。パリに向けて、このままでは全然ダメなので、死にもの狂いで練習するしかない」

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