台風13号に伴う茨城県内の大雨被害は8日で1カ月を迎えた。県は氾濫した県北3市の県管理9河川について、治水対策の検討に着手した。堤防設置や河道掘削などを視野に流下能力を向上させる。県河川課は「関係自治体と協議し、河川ごとに有効策を探る」として、今回のような過去最大規模の雨量にも耐えられるよう備えを強化する方針。
氾濫した県管理の9河川は日立市の宮田川、鮎川、東連津川、大沼川、北茨城市の里根川、関山川、江戸上川、塩田川、高萩市の関根川。
いずれも、過去最大規模の雨量により、流下能力を超えたとされる。多くの河川では、周辺の住宅地の方が高い位置にあるため、堤防は大部分で計画されていなかった。
県は9月、各河川の治水対策の検討を始めた。堤防設置や河川の土砂を掘り出す河道掘削、河川改修による拡幅といった流下能力の向上を探るほか、周辺で貯留機能を確保するなど「流域治水」も視野に入れる。例としては遊水地や調整池などがある。
今後、整理した検討案を基に3市との間で早期に治水対策を協議し、取りまとめを目指す。
水戸地方気象台によると、今回の大雨は、線状降水帯などの影響で、降り始めからの総雨量が日立市で282.5ミリと観測開始以来、最多を記録した。北茨城市で232ミリなど、過去最大規模の大雨が降った。
県は既に管理河川の応急復旧を完了している。本復旧については、3分の2が国庫負担となる「災害復旧事業」として年内に申請する方針。現在、調査・設計を進めている。
同課の担当者は「一日も早い本復旧と治水対策により、住民の安心安全につなげたい」としている。