地震1カ月、復興のつち音響かず モロッコ、政府支援遅れに批判

全壊した自宅跡に座り込むアラビ・ゴホバルさん=7日、モロッコ・アミズミズ郊外(共同)

 【マラケシュ(モロッコ中部)共同】約3千人の犠牲者を出した北アフリカ・モロッコ中部の地震は8日で発生から1カ月。壊滅的な被害があった山間部の集落ではがれきの撤去作業が進まず、今も多くの被災者がテントに身を寄せている。「何も進んでいない」。復興のつち音が響く気配はなく、政府による支援の遅れを批判する声も聞かれる。

 国営通信や保健省によると、地震の死者は2960人、負傷者は6125人。被害を受けた観光地マラケシュでは、国際通貨基金(IMF)と世界銀行が9日から年次総会を開く。山間部とは対照的に、市街地には総会開催を伝える看板が多数設置され、観光客のにぎわいも戻り始めていた。

 「苦しいことばかりだった」。震源に近いハウズ県アミズミズ郊外の集落でテント暮らしを続けるアラビ・ゴホバルさん(61)が振り返った。被災した周辺住民約200人と集団生活を送る。水や食料不足に悩まされ、1日1回の食事だけで5日間を過ごしたこともあったという。

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