秋雨の下、祭りばやし 5年ぶり「通常開催」の神社も、和歌山

王子神社を出発するみこし(8日、和歌山県すさみ町周参見で)

 秋らしい涼しさで雨が降った8日、各地の神社で、笛や太鼓の祭りばやしが鳴り響き、みこしや獅子舞が地域を練り歩いた。

■5年ぶり通常開催 すさみ町の王子神社

 和歌山県すさみ町周参見の王子神社の例大祭は8日、平松、太間地・堀切、下地の3地区がそれぞれ、みこしや獅子舞などで各地区を練った。台風やコロナ禍の影響で規模縮小が続いており、通常通りの形で営まれる秋祭りは5年ぶりという。

 この日は午前中、王子神社に各地区の氏子たちが祭り囃子を響かせながら相次いで到着。午前10時半ごろから神事が営まれ、太間地・堀切の獅子保存会が「幣の舞」と「乱獅子」を奉納すると、観客から大きな拍手が起こった。

 その後、3地区のみこしなどが神社を出発。各地区へと向かった。

 総代長の川口昭治さん(79)は「5年ぶりに通常通りの形で秋祭りを営むことができて、皆が大変喜んでいる。今日はあいにくの雨だが、地域に活気が戻ったように感じる」と笑顔を見せた。

■獅子舞、元気に 田辺市芳養松原の大神社

 田辺市芳養松原1丁目の大神社の例祭では6~8日、獅子舞が地域内の民家を回る地下回しがあり、住人らが伝統の舞を楽しんだ。

 例祭は江戸時代に始まったとされ、獅子舞は松原区と井原区に受け継がれている。コロナ禍を挟んだため、4年ぶりに例年通りの形で営まれた。

 松原区では、青年団が2組に分かれて「幣の舞」や「剣の舞(ゴシャク)」など古くから伝わる獅子舞を披露。てんぐやお多福も登場したほか、笛や太鼓の音も加わり、住人たちは祭りの雰囲気を堪能していた。地下回しでは3日間で300戸超を回る。

 自宅前での獅子舞を見物した辻うた子さん(75)は「昨年までの3年間は寂しかった。いろんな祭りはあるが、地元の祭りが一番いい」と笑顔だった。

 青年団は9月から稽古を続けていた。仕事の都合で祭りに参加するのは13年ぶりという祭典委員長の濱中健宏さん(39)は「見てくれた人は喜んでくれているし、みんなが一丸となって獅子舞を披露できている。地域に高揚感があるし、いい祭りだと改めて感じている」と話していた。

てんぐも登場した獅子舞の地下回し(8日、和歌山県田辺市芳養松原1丁目で)

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