日ソ共同声明、10日で50年 平和条約・北方領土、展望開けず

1973年10月、ソ連を訪問、ブレジネフ書記長(中央)と歓談する田中角栄首相(左端)=モスクワのクレムリン(AP=共同)

 1973年、当時の田中角栄首相とソ連のブレジネフ共産党書記長が署名した日ソ共同声明の発表から10日で50年となる。両氏は会談で、解決すべき問題に北方領土の帰属が含まれることを確認。声明では領土問題に直接触れず「未解決の諸問題を解決して平和条約を締結する」とした。昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後は協議が途絶えており、再開の展望は開けていない。

 73年の声明は「56年の日ソ共同宣言による国交回復以来、両国関係は順調な発展を遂げた」と強調。シベリア天然資源の共同開発、貿易、運輸、農業、漁業などの協力促進、首脳対話継続を盛り込んだ。

 ソ連崩壊を経て93年に日ロ首脳が署名した東京宣言では、北方四島の択捉、国後、色丹、歯舞を列挙し、帰属問題の解決を目指す方針を確認した。

 2012年に発足した第2次安倍政権以降、安倍首相(当時)はプーチン大統領と会談を重ねたが、4島の帰属問題は進展がなかった。

 ウクライナ侵攻後、日本はロシアへの制裁を強化。元島民らの墓参、4島周辺水域での漁業交渉も中断している。

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