琵琶湖の水上バイク「酒気帯び」取り締まりへ 児童はねる事故受け滋賀県警

多くの水上バイクが接岸する近江舞子の南浜(大津市内)=滋賀県提供

 今夏の琵琶湖では水上バイクの事故が相次いだ。飲酒操船が疑われる水上バイクが遊泳中の子どもをはねる事故も発生したことから、滋賀県警は、現状では条例に禁止規定がない「酒気帯び」の操船に関するルール作りを検討している。

 県琵琶湖等水上安全条例では、酒に酔って正常な判断ができない恐れがある「酒酔い」の操船に対しては2月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。ただ、基準値以上のアルコールを体内に保有する「酒気帯び」の操船については規定がなく、飲酒そのものを取り締まることができない。

 8月26日には大津市北比良の琵琶湖で泳いでいた小学生2人が水上バイクにはねられ、重軽傷を負う事故が発生した。操縦者は、無免許で水上バイクを運転した小型船舶操縦者法違反などの罪で略式起訴され、罰金70万円の略式命令を受けた。一方、大津北署によると、操縦者の呼気からアルコールが検知されていたが、同法や県条例に酒気帯びに関する罰則がないため罪には問われなかった。

 県警によると、東京、兵庫、茨城の3都県では、酒気帯び操船に条例で罰則を設けているという。県も条例改正を視野にルール化を検討する方針で、県警地域課は「全ての湖面利用者を対象にするのかや、どのようにして実効性を担保するかについては、さまざまな意見を聞いていきたい」と話す。

 琵琶湖や県内河川での船舶事故は、今年に入ってから9月24日までに48件発生し、18人が負傷、2人が死亡した。うち水上バイクに関係する事故は19件で、8月27日と9月3日には水上バイク同士の接触・衝突事故が発生し、1人が死亡、1人が重傷を負った。発生件数は既に過去5年間の1年間の平均件数を上回っている。

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