FIA、F1カタールGP決勝を前に全チームとミーティングを実施。3ストップ義務化の可能性

 2023年F1第18戦カタールGP決勝日となった10月8日、ロサイル・インターナショナル・サーキットの50mmのピラミッド型縁石に伴うタイヤへのダメージと安全上の懸念を解消するため現地時間14時(日本時間20時)より、FIA国際自動車連盟と全F1チームがミーティングを実施し、57周の決勝レースにおいてタイヤの最長周回数に制限を設けるべきかが議論されることが明らかとなった。

 スプリント・シュートアウトとスプリントが行われた9日(土)、FIAは「チェックした多くのタイヤで、トッピングコンパウンドとカーカスコードの間のサイドウォールに剥離が発見された。FIAとピレリの見解では、これらのタイヤでかなりの周回数を重ねると、タイヤの円周方向にダメージが生じ、それに伴ってエアロスが発生する可能性がある。この問題は、このサーキットで多用されている50mmの“ピラミッド型”縁石とタイヤのサイドウォールが高周波数で干渉し、縁石に乗り上げることで悪化した可能性が高い」と発表し、スプリント・シュートアウト直前に急遽、ターン12とターン13について、より内側にトラックリミットを変更することとなった。

 ピレリは決勝日の朝、19周のスプリント後に行われた分析結果をFIAに伝えることになっている。ただ、カタールGPのスプリントは3度のセーフティカー(SC)導入により、グリーンシグナルでの連続周回数は9周にとどまった。この分析結果次第では、57周の決勝レースにおいてタイヤの最長周回数制限(ニュータイヤの場合は20周)、そして全車に対し3ストップが義務付けられる可能性がある。

 3ストップが義務付けとなれば、ドライバーによってはユーズドのソフトタイヤを引っ張り出す必要が迫られるほか、レース展開によっては4ストップを選択するドライバーも現れるかもしれない。なおFIAは、現地時間8日14時(日本時間20時)より行われるチームとのミーティングが終わるまで、ピレリが提出したスプリント後のタイヤ分析結果を公表しないことを明らかにしている。

 ピレリのレーシングマネージャーを務めるマリオ・イソラは、土曜日のスプリント終了後に「いつものレースウイークエンドと同じように、1日の終わりに返却されたタイヤを分析しているところだ。この分析が完了したら、調査結果をFIAに伝え、必要であれば、決勝に向けてさらなる対策を講じることになる」とコメントしていた。

「決勝に向けては、現在進行中の分析結果を待ち、レースに何らかの義務をかけるかどうかを見極める必要がある。今の時点で戦略について推測する意味はないだろう」

セッション後にタイヤの状態を確認するピレリのスタッフ/2023年F1第15戦イタリアGP

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