オール福井ロケ、映画「おしょりん」 原作者藤岡陽子さんの作品への思い

映画「おしょりん」への思いを語る原作者の藤岡陽子さん(右)=10月6日夜、福井県福井市のテアトルサンク

 福井の眼鏡産業の黎明期を描いた映画「おしょりん」の原作者藤岡陽子さん(京都府京都市)のトークショーと特別先行上映会が10月6日夜、福井県福井市のテアトルサンクであった。藤岡さんは「明治時代の命がけの眼鏡作りが再現されている。その熱量を感じてほしい」と映画への思いを語った。

 おしょりんは、明治時代に麻生津村(現福井市)で眼鏡産業の礎を築いた増永五左衛門、幸八兄弟らの奮闘を描いた藤岡さんの同名小説が原作。オール福井ロケで制作された。

⇒「おしょりん」10月20日に福井県で先行公開

 藤岡さんは福井での取材を振り返り、「眼鏡作りをゼロからスタートさせたところに夢を感じた。職人らの思いや苦労をひもときたいと思った」と原作に込めた思いを紹介した。

 映画では原作と同様、五左衛門の妻むめの視点も描かれており「成功の陰には女性や子どもたちの存在があったはず。歴史でスポットが当たっていない人たちを取り上げたかった」と強調した。

 既に別の試写会で映画を見たという藤岡さん。「初めて見たときは胸の高鳴りとどきどきでずっと泣いていたので今日は冷静に見たい」と話していた。

 トークショーと特別先行上映会は福井商工会議所が主催。約500人が観賞した。映画は10月20日から県内で先行公開され、11月3日に全国公開となる。

 映画には、小泉孝太郎さん、北乃きいさん、森崎ウィンさん、福井市出身の津田寛治さん、坂井市出身の高橋愛さんらが出演している。

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