空き家問題に関心を持ってもらおうと、福井県大野市のまちづくり団体「横町編集部」が童話「三匹の子豚」をアレンジした絵本を制作している。「絵本を通じて、リフォームなどで空き家が活用できることを若い世代に伝えたい」とし、福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」を活用して資金を募っている。
関西大学の学生や卒業生でつくる同団体代表で、大野市地域おこし協力隊として空き家問題に取り組む三浦紋人さん(29)が企画した。
制作する絵本「3びきのこぶたと、3けんのあきや」は、3匹の子豚が父親から空き家を1軒ずつ相続するシーンから始まる。長男は放置し、次男は賃貸借による金銭トラブルに巻き込まれ、三男は仲間と協力して改修し理想の家を完成させるというストーリー。作画は福井市のイラストレーターおとしぶみさん、製本は大野市の本屋「HOSHIDO」が担う。
市が2022年に策定した「越前おおの空家等対策計画」によると、市内の空き家は16年の528軒から21年は794軒に増えており、今後も人口減少に伴い増えることが予想される。三浦さんは市の将来を担う子どもたちと一緒に空き家問題を考えようと絵本制作を思い付いた。
自身も空き店舗を改修した「横町スタジオ」(同市日吉町)を拠点に活動し、空き家に関する情報紙「あきやたより三浦問答」を発行する三浦さん。「若い世代に賃貸借やリフォームで空き家が十分に活用できることを伝えたい。使わない家が出た時の対応を家族で話すきっかけを作りたい」と話している。
CFは市のふるさと納税型CF「ガバメントクラウドファンディング」を活用。9月中旬に公開し目標額の50万円を達成した。現在はハードカバーでの製本に必要なネクストゴールの105万円を目指し、10月28日まで「ミラカナ」特設ページで募集している。絵本の読み聞かせなどを行う「完成上映会」への招待券、絵本の原画プレゼントなどをネクストゴールの返礼として用意している。絵本は12月上旬に300冊が完成予定で市内の保育園や子ども園、小中学校、高校など約20カ所に配る。
◇ミラカナとは 福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして福井新聞社、福井銀行、福邦銀行が連携。CFのレディーフォー、応援購入サービスのマクアケいずれかを通じて支援・購入を募る。累計支援額は2億円、プロジェクトの達成率は92%(数字は2023年9月末時点)。
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