犬が自分の体をかく理由4選!その心理と注意すべきポイント、病気の可能性まで

1.ストレスや不満を感じている

犬にとって体をかく行動は、「カーミングシグナル」と呼ばれるボディランゲージのひとつだと考えられています。

カーミングシグナルは、犬が不安やストレスを感じたときに、自分の気持ちや対峙している相手の気持ちを落ち着かせるためにおこなうボディランゲージです。これは群れ社会で暮らしていた野生のイヌ科動物がおこなっていたもので、現代の家庭犬でも同じような行動が見られます。

体をかく行動以外にも、あくびをする・体を振る・横を向く・地面のにおいを嗅ぐなど様々なものがあり、現在確認されているものは約30種類とされています。

不安や退屈を感じているときをはじめ、飼い主さんに叱られてストレスを感じているときなどにも体をかくことがあります。

叱っているときにこのような態度を犬が見せると、飼い主さんは「話を聞いていない!」「怒られていることを理解していない」と思うでしょう。そしてさらにお説教を重ねてしまうこともあるかもしれませんが、そうすると犬はより強いストレスを感じたり、委縮してしまったりすることがあるので気をつけてください。

2.敵意がないことを伝えている

犬のカーミングシグナルは、自分の気持ちを落ち着かせたいときだけでなく、対峙している相手に敵意がないことを伝えて喧嘩を避けようとするときにもおこないます。

相手が自分に敵意や警戒心を見せているときや、威嚇行動を取っているときに、目の前で体をかいたりあくびをしたりして「落ち着いて」「喧嘩はやめよう」と伝えようとするのです。

ほかの犬に対してこうした行動を見せる犬は、トラブルを起こしにくく、上手にコミュニケーションがとれるタイプだと思います。しかしもし愛犬が体をかくなどカーミングシグナルを見せているときは、その気持ちを尊重して手助けしてあげるといいでしょう。

3.飼い主さんにかまって欲しい

犬が飼い主さんの目の前で体をかくことが増えていると感じたときは、飼い主さんの注目を集めようとしているのかもしれません。

犬が頻繁に体をかいていると、飼い主さんは「どうしたの?」と心配したり、体を触って確認したりすると思います。過去にそのような対応をしてもらった犬は、体をかくことでまた同じように心配してもらったりかまってもらったりしようとすることがあります。

このような原因が考えられる場合は、日頃のスキンシップやコミュニケーションが十分か、一度見直してみることをおすすめします。

4.体がかゆい、痛い

犬が体をかいている理由として、最も多く考えられるのがやはり体にかゆみを感じていることでしょう。

アレルギーや虫刺され、細菌感染などで皮膚に炎症を引き起こしていることもありますし、乾燥や毛玉で皮膚が引っ張られているときにかくこともあるでしょう。

また、外耳炎や副鼻腔炎などを起こしているときにも、顔だけでなく首元をかくこともあるので、全身のチェックをしてあげることをおすすめします。

そのほかにも、軽い痛みや違和感を感じているときにも、患部が気になってかくことがあります。見た目にはわからない疾患が隠れていることもあるので、体をかくことが増えたら獣医師に相談してみてください。

まとめ

犬が体をかいているとき、基本的には体にかゆみや痛み、違和感を感じていることが多いと思います。

ただし、体をかくことが目に見えて多いときや、決まった状況で体をかくとき、体に異常がないのに体をかく回数が減らないときなどは、心理的な影響による行動かもしれません。

まずは体のチェックをしたうえで異常がないことがわかったら、犬が伝えようとしていることや隠れている気持ちを考えてみてあげましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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