知られざる映画に再び光を、21日から5日間「神戸発掘映画祭」 記録に残らぬ「珍品」も紹介 兵庫

「魂を投げろ」の原節子

 知られざるフィルムに再び光を当てる「神戸発掘映画祭」が21日から5日間、神戸映画資料館(神戸市長田区腕塚町5)で開催される。同館の理事を務めた映画評論家・山根貞男さんの追悼企画をはじめ、外国無声映画の「女優レジェンド」▽関東大震災や北但大震災の実写-など多彩なプログラムが上映される。(田中真治)

 山根さんは今年2月に逝去。同館の安井喜雄館長らフィルムコレクターを取材した遺著「映画を追え」にちなみ、同書に登場する作品を取り上げる。

 「魂(たま)を投げろ」(28日午前11時、1935年)は、現存最古の原節子主演作。小津安二郎監督の喜劇「突貫小僧」(28日午後2時50分、29年)、稲垣浩監督の時代劇「海を渡る祭礼」(29日午後1時、41年)は、山根さん自身が発見に関わった作品だ。ペンネーム「菊地浅次郎」の由来となった、鶴田浩二主演の「明治侠客(きょうかく)伝 三代目襲名」(28日午後4時25分、65年)も。発掘秘話を語る生前のトーク映像もある。

 「女優レジェンド」は、セダ・バラ主演のアメリカ映画「愚者ありき」(21日午後4時と22日同4時15分、14年)、アスタ・ニールセン主演のドイツ映画「女ハムレット」(22日午後1時、21年)の2本。バラはハリウッド初のセックスシンボル、ニールセンはデンマーク出身の国際的スターとして映画史に名を刻む。その伝説的な姿をスクリーンで拝める貴重な機会だ。

 「震災実写映画」(27日午後3時15分)は、関東大震災100年に合わせて、日活と篠山・兵阪新聞社が製作した2本を上映。併せて「但馬地方大地震実況」(25年)と「丹後大地震」(27年)も紹介し、映像記録と保存の意義を訴える。

 また、同館の「新発掘」(28日午後1時、29日同4時)として、新聞記事を基に現地撮影した「深川美談 孝女てい子」(20年)と上方歌舞伎から転身した片岡仁引主演の「筑紫の太刀風 石童丸」(25年)を初披露。前者は短命に終わった国際活映の製作で、記録にも残っていない珍品だ。

 その他、神戸大との連携企画「サイレントアニメーション×現代のサウンド」(21日午後5時25分)などがある。1プログラム一般1400円(一部無料)。予約できる。同館TEL078.754.8039

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