「卵」使いコロッケ創作 茨城・龍ケ崎「名物づくりに磨き」 余剰品を活用 地元企業が無償提供

イセデリカの卵製品を使ったコロッケを味わうイベントの入場者=龍ケ崎市小柴

「コロッケのまち」を掲げる茨城県龍ケ崎市で、地元の食品加工会社が余った卵製品を地元店舗に無償で提供し、コロッケの創作に結び付けてもらう取り組みが進んでいる。イベントで出品すると売り切れも出る人気ぶりだ。双方は「協力して地域を元気にしたい」と意気込む。

▽廃棄から寄付へ

カルボナーラ風の具材が詰まったコロッケに、甘いいり卵入りのコロッケ…。

9月23日、市内であった「まいりゅう祭り」の特設会場。入場者が頬張るのは、市内に本社を置く鶏卵加工品製造販売のイセデリカが作った温泉卵を用いたコロッケだ。

同社主力の竜ケ崎本社工場は年中無休で稼働し、温泉卵や味付き卵といった製品を1日に70万、80万個ほど製造する。一方で「最低限に抑えるようにしているが、受注状況などでどうしてもロスは出てしまう」と副工場長の吉留和也さん(36)は説明する。

廃棄に回ってしまう製品を有効活用するようになったのは2年ほど前からだ。持続可能な開発目標(SDGs)を念頭に、味や品質に問題がない製品を市内の子ども食堂や学生寮に寄付し始めた。

そうした中、コロッケでまちおこしを担う地元団体の「コロッケクラブ龍ケ崎」にも声かけ。すると、加盟する飲食店や精肉店が商品開発に役立てようと手を挙げた。提供する製品は調理の応用が利く温泉卵に決めた。余りが生じるたびに贈る仕組みという。

▽5店舗で展開

いずれも市内にあるRyu,s Kitchen MINT TREE、炭火焼鳥さざん、まいんコロッケ、高橋肉店、旬の台所しゃんしゃん龍の5店が取り組みに加わる。

「炭火焼鳥さざん」では、温泉卵や鶏肉を組み合わせ、恐竜の卵の形をしたコロッケを考案した。同店の関根裕子さん(48)は「目新しさもあって人気メニューになっている。まちおこしにもつながれば」と期待を込めた。

Ryu,s Kitchen MINT TREEは色合い豊かなミモザサラダをイメージしたコロッケを開発した。店長の大瀧彩子さん(58)は「卵の質が良く、黄身の鮮やかさを生かした。第2弾も考えたい」と語った。

▽発信、市内外に

評判も上々だ。まいりゅう祭りでステージイベントに立った流通経済大チアリーディング部員で、3年の岡崎ななみさん(20)と1年の原凛々花さん(18)は、高橋肉店のカルボナーラコロッケやまいんコロッケのいり卵入りコロッケを口に運び「万人に受けそう。卵の風味を感じられる」と笑顔を見せた。

コロッケクラブ龍ケ崎では、イベントを中心に積極的な販売を展開していきたい考え。飯島進会長(52)=高橋肉店代表=は「自慢のコロッケに磨きをかけたい」と話した。魅力発信を担う「龍ケ崎観光アンバサダー」の河野桃子さん(28)も「成り立ちを含めて内外にPRしたい」と意欲を示した。

「製品がコロッケとして生まれ変わるのは感慨深い」と吉留さん。地元の事業者同士で手を取り合い、にぎわいにつなげたいと願っている。

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