発泡スチロールで幻の安土城の再現模型 日出町の山中さん「城主になったつもりで」【大分県】

幻の安土城や甲府城、小倉城、空き缶のリングプルなどを使ったよろいかぶとを作った山中光星さん=日出町豊岡

 【日出】日出町豊岡の山中光星(こうせい)さん(75)は、使わなくなった発泡スチロールなどを材料に、約1年間をかけて幻の安土城(滋賀県)など、三つの城を再現した模型を作った。2017年に城作りを始め、目標の20作品に到達。山中さんは「集大成は安土城と決めていた。苦労したが、満足できる仕上がりになった」と話している。

 山中さんが城作りに目覚めたのは17年。熊本・大分地震で被災した熊本城の復興を願い、模型を作ったのがきっかけ。城の本やビデオなどを参考に、設計図を描き、発泡スチロールを丁寧に削って形を整える根気のいる作業。

 この1年間で、安土城に加えて甲府城(山梨県)、小倉城(福岡県)を完成させた。中でも安土城には強い思い入れがあったという。「幻といわれるだけに、残されている史料が少ない。イメージを膨らませ、城主になったつもりで設計した」と、天守閣など、細部にこだわった。

 当初は5年で20作品の完成を目指していたが、大病を患った影響などで予定より2年遅れた。生死をさまようような手術を乗り越え、病院では「奇跡の人」と呼ばれるまでに回復した。

 一緒に闘病していた仲間が山中さんの作品を見に来て、城作りを喜んでくれたという。仲間からの励ましも活力にしながら目標にたどり着いた。

 作品は28、29両日に町内で開かれるひじ産業文化まつりで展示する予定。山中さんは「安土城がどんな城なのか知ってほしい。展示後は希望者に作品を譲りたい」と話した。

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