財務省が10日発表した8月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は、前年同月の約3.4倍の2兆2797億円だった。黒字は7カ月連続。円安基調を背景に海外投資で得た利子や配当の黒字幅が高い水準を維持したほか、貿易収支の赤字額が大幅に圧縮した。
経常収支の内訳は、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が7495億円の赤字に。赤字は3カ月ぶり。輸出は2.6%減の7兆8935億円。軽油や半導体製造装置などの輸出が落ち込んだ。輸入は18.2%減の8兆6430億円だった。石炭などの輸入額が大幅に減った。
海外投資で生じた利子や配当の動向を示す第1次所得収支の黒字額は8.0%減の3兆6387億円。前年同月が単月として過去最大となった反動で減ったものの、今年8月も単月としては5位と堅調だった。
サービス収支では、訪日客が日本で使った消費額から日本人旅行客の海外での消費額を差し引いた旅行収支が、2582億円の黒字に。比較可能な1996年以降で8月として最大だった。