茨城・鹿嶋市 ふるさと納税獲得懸命 返礼品サイト増やし好調

大きなヒラメを釣ることが可能な鹿島灘の釣り船乗船券も返礼品の一つとして人気だ(市提供)

茨城県鹿嶋市が、ふるさと納税の寄付獲得に懸命だ。本年度は「ふるさと納税戦略室」を設け、2億円を目標にスタートし、8月末現在で対前年度同月比16%増と好調。同室は返礼品を掲載するポータルサイト数を増やしたことが大きな要因とみており、寄付額がピークを迎える年末に向け、「一層力を入れていきたい」としている。

同市のふるさと納税の寄付獲得額は、2017年度の1億9350万3千円をピークに伸び悩んでいる。昨年度の1億1499万5千円は鹿行5市の中では最下位で、県内44市町村中33位だった。

そこで、同室はまずポータルサイトをこれまでの五つから7月に二つ、8月に一つ増やした。この結果、前年度同月比で4~7月は91%から116%と推移したが、8月は194%と大きく伸びた。サイトは近くもう一つ追加する予定。

併せて、サイト内の写真もできるだけ増やし、返礼品だけでなく製造している場面の写真も掲載するようにした。発送も迅速化し、月2回から週2、3回に変更。寄付者からのコメントについてもすぐに返信するようにした。

同室によると、これまでの人気返礼品は焼き芋・干し芋、ハマグリ、おかきなど。体験型としては鹿島灘の釣り船乗船券が人気だという。これらに加え、取りそろえも重要として、新規事業者や新規返礼品を開拓。事業者の戸別訪問にも取り組み、8月末現在で10事業者、返礼品は126品増えた。

今後に向けては、現地決済型「ふるさと納税払いチョイスPay」の加盟店舗拡大に注力する。あらかじめ登録された加盟店で寄付をすると同時に返礼品としてポイントが付与され、その場でポイントが利用できる仕組みで、加盟店舗側の決済手数料やシステム導入費用がかからないことや、市も発送コストが省けるメリットがあるという。

現在は県立カシマスタジアムと鹿島アントラーズクラブハウス内のオフィシャルショップの2店舗しか利用できないため、ゴルフ場などでも使えるよう順次拡大していく予定だ。

このほか、高額返礼品の開発についても、農産物などを複数回に分けて届ける「定期便形式」の充実を図っていく。

同室は「本年度の目標は達成できそうだが、26年度に10億円達成の目標は現状では厳しい。全国的に名が通っているアントラーズや鹿島神宮とも交渉し、何とか新たな返礼品を作り出していきたい」と意欲を見せた。

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