Wシリーズ史上最高の活躍を見せた名投手 1905年のマシューソン

ワールドシリーズMVPの表彰が始まったのは、1955年の第52回ワールドシリーズからであり、その前年(1954年)のワールドシリーズで「ザ・キャッチ」と呼ばれる伝説的なファインプレーを見せたウィリー・メイズに敬意を表し、2017年には「ウィリー・メイズ賞」という名前が付けられた。しかし、「ワールドシリーズ史上最高のパフォーマンスを見せた選手は誰か?」という質問に対する答えは、おそらくメイズではない。MLB公式サイトでは、ワールドシリーズ史上最高の個人成績を残した選手として、1905年のクリスティ・マシューソンを紹介している。

マシューソンは1900年から1916年まで17年間メジャーでプレーし、現役最後の1試合を除く635試合にジャイアンツの選手として登板。最多勝4度、最優秀防御率5度、最多奪三振5度など輝かしいキャリアを過ごし、サイ・ヤング、ウォルター・ジョンソンに次ぐ歴代3位タイの通算373勝をマークしてアメリカ野球殿堂が創設された1936年に「初期メンバー」として殿堂入りを果たした名投手である(初期メンバーはタイ・カッブ、ベーブ・ルース、ホーナス・ワグナー、マシューソン、ジョンソンの5人)。

そのマシューソンが「ワールドシリーズ史上最高のパフォーマンス」を見せたのは、1905年に行われた第2回ワールドシリーズだ。この年、ジャイアンツはアスレチックスを4勝1敗で破ってワールドシリーズ制覇を成し遂げたが、マシューソンは初戦、第3戦(中2日)、第5戦(中1日)と3試合に先発。結果は4安打完封、4安打完封、5安打完封で、マシューソンは合計27イニングを投げて3勝0敗、防御率0.00、被安打13、奪三振18、与四球1という驚異的な活躍を見せた。

ちなみに、ワールドシリーズでの完封勝利は2014年の第5戦でマディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)が記録したのが最後。21世紀に入ってからは、2001年のランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)、2003年のジョシュ・ベケット(マーリンズ)、そしてバムガーナーの3人しか達成していない。

また、単年のワールドシリーズで20イニングを超えた投手も2014年のバムガーナーが最後。21世紀では、ほかに2001年のカート・シリング(ダイヤモンドバックス)がいるだけだ。27イニングを投げた投手、つまり3度完投した投手は1968年のミッキー・ロリッチ(タイガース)が最後である。

単年のワールドシリーズで3試合に先発した投手は2016年のコリー・クルーバー(インディアンス)を最後に現れていない。21世紀では、ほかに2001年のシリングと2011年のクリス・カーペンター(カージナルス)だけである。

単年のワールドシリーズで完封勝利を2度マークした投手は1903年のビル・ディニーン(レッドソックス)、1957年のルー・バーデット(ブレーブス)、1960年のホワイティ・フォード(ヤンキース)、1965年のサンディ・コーファックス(ドジャース)と4人いるが、彼らには3度目の完封勝利を目指すチャンスすらなかった。

ワールドシリーズで通算3度の完封勝利をマークした投手はフォードとモーデカイ・ブラウン(カブス)の2人だけである。それを単年で成し遂げたマシューソンのパフォーマンスがいかに突出しているか、これらの記録からもお分かりいただけるのではないだろうか。

なお、1905年、1911年、1912年、1913年とワールドシリーズに4度出場したマシューソンは、ワールドシリーズで通算11試合に先発して101回2/3を投げ、10度の完投と4度の完封を含む5勝5敗、防御率0.97をマークしたが、世界一になったのは1905年の1度だけだった。

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