日銀物価見通し上方修正へ 23年度、3%近くで検討

日銀本店=東京都中央区

 日銀が2023年度の消費者物価上昇率の見通しを、7月に示した前年度比2.5%から3%近くに上方修正する検討に入ったことが10日、分かった。日銀の想定以上に企業の値上げの動きが続き、足元で原油価格が上昇していることを反映する。30、31日に開く金融政策決定会合で正式に決め、経済動向や物価の見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する。

 7月に物価と金利上昇に対応するため、大規模な金融緩和策の柱である長期金利の操作で、容認する上限を0.5%から1%に引き上げた。今回の会合では物価見通しを考慮した上で緩和策が適切かどうか議論する。

 日銀が2日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)で、販売価格について「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を差し引いた指数は、大企業製造業がプラス32、非製造業がプラス27と高水準にある。

 総務省が発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は、前年同月比3.1%だった。市場では23年度は前年度比で2%台後半から3%程度になるとの予想が多い。

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