子ども放置禁止条例案を撤回 埼玉・自民県議団、批判の声殺到

「虐待禁止条例」の改正案を賛成多数で可決した埼玉県議会の福祉保健医療委員会=6日

 埼玉県議会の自民党県議団は10日、9月議会に提出していた、子どもだけでの留守番などを放置による虐待と定める「虐待禁止条例」の改正案を取り下げると発表した。「放置」を見つけた場合の通報も義務化する内容で、他会派は「追い詰められる親が増える」と指摘。子育て世代からは「負担が大きくなる」と批判が殺到し、撤回に追い込まれた。

 改正案は、保護者らが小学3年生以下を自宅などに放置することを禁じ、小4~6の児童に関しては放置しないことを努力義務と規定。県議団は提案理由として、車や通園バスに放置された子どもが熱中症で死亡した事故を挙げ「放置は危険だという意識改革をする必要がある」としていた。

 県議団の議会での説明などによると、子どもだけでの留守番や公園での遊び、集団の登下校も「放置」に当たるとされていた。

 県によると、10日午後2時の時点で条例について県庁に1007件の意見が寄せられ、うち1005件が反対の内容だった。改正案に異議を唱えるインターネット署名も8万件を超えていた。

記者会見する埼玉県議会自民党県議団の田村琢実団長=10日、さいたま市

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