WRC王者ロバンペラ、難コンディションのFDJ岡山戦で健闘。中学2年生の箕輪大也はランキング2位に

 10月7~8日に岡山国際サーキットで開催されたFDJフォーミュラドリフトジャパン最終戦/第6戦岡山。シリーズタイトル決定の舞台であり、WRC世界ラリー選手権王者カッレ・ロバンペラ(KR69 CUSCO Racing)の2度目のFDJ参戦、さらにはTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)の勝田貴元によるWRカーでのデモランもあり、多くのドリフトファン、そしてラリーファンが会場を賑わせた。

 第5戦奥伊吹終了時点で2023年のシリーズランキングトップは小橋正典(LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE)、そしてランキング2位には14歳の箕輪大也(CUSCO Racing)が続いていた。FDJ参戦2年目の中学生ドリフター箕輪がシリーズタイトル獲得の可能性を残していたこともあり、その走りにも注目が集まった。

 48台がエントリーした予選を経て、8日の決勝の追走トーナメントを迎えた。追走トーナメントの後半戦、それまで上空に漂っていた雲から雨粒が落ち始めた。この雨により接触やアクシデントも多発したが、トップ4にはロバンペラ、箕輪、第5戦終了時点でランキング4位につけ、逆転タイトル獲得の可能性を残すKANTA(LINGLONG TIRE DRIFT Team Orange)、そして山下広一(TMS RACING TEAM SAILUN TIRE)という実力者たちが名を連ねた。

 トップ4で箕輪はKANTAとの戦いとなり、事実上のタイトル争いの場ともなった。KANTA先行の1本目は、攻めに攻めた走りを見せたKANTAが制した。続いて箕輪先行の2本目、FDJ解説の谷口信輝がスタート直後から「近い!」を声を上げるほどKANTAがビタビタかつ巧みな後追いを見せチェッカー。2本ともKANTAが制し、これで箕輪の最終戦3位が決まり、同時に自力タイトルの可能性を失った。

 ただ、KANTAが逆転タイトルを獲得するにはこの最終戦での総合優勝が必要だ。そのKANTAと総合優勝を争うファイナルに進出したのはロバンペラだった。ロバンペラにとっては、同じヨコハマタイヤ勢である箕輪の初タイトルをアシストできるか否かも焦点となった。

2023年FDJ第6戦岡山/箕輪大也(CUSCO Racing)とKANTA(LINGLONG TIRE DRIFT Team Orange)

 ファイナルが行われるころには滑りやすく、かなり難しい路面コンディションとなっていた。KANTA先行の1本目、後追いのロバンペラはゾーン1立ち上がりまでKANTAのチェイサーにピタリと張り付く。

 さらにゾーン2進入では接触スレスレの見応えのあるサイド・バイ・サイドとなるが、ゾーン2の立ち上がりでロバンペラは痛恨のスピンを喫してしまう。続いて行われたロバンペラ先行の2本目は両者比較的慎重な走りとなる中、1本目を制したKANTAが見事な後追いを見せてチェッカー。KANTAが第6戦岡山を制すると同時に、逆転で2023年FDJシリーズチャンピオンに輝くこととなった。

2023年FDJ第6戦岡山/カッレ・ロバンペラ(KR69 CUSCO Racing)とKANTA(LINGLONG TIRE DRIFT Team Orange)

 大会終了後、岡山戦2位となったロバンペラは「今回も良い時間を過ごすことができたね。この場所(FDJ)に戻ることができて嬉しくもあったし、何より走りを楽しむこともできたよ。ファンの皆には本当に感謝している」とコメント。

 ただ、「でも、勝てなかったことは残念。そしてさらに残念なことはヒロヤ(箕輪)のチャンピオン獲得を手伝えなかったことだね」と悔しさも滲ませていた。

2023年FDJ第6戦岡山に参戦するカッレ・ロバンペラ(KR69 CUSCO Racing)

 また、岡山戦3位、そしてシリーズ2位となった箕輪は「1年間壊れないマシンで走らせてくれたチームに感謝します。勝てなかったことはだから……本当に申し訳ない……KANTA選手、おめでとう!」と涙で声を詰まらせながらコメントした。

 惜しくも今季のタイトルは逃した箕輪。ただ、箕輪はまだ成長著しい中学生。成長著しい箕輪がタイトルを手にする日はそう遠くはないのかもしれない。

14歳でFDJシリーズ2位となった箕輪大也(CUSCO Racing)

■【動画】2023 Formula Drift Japan Round 6 TOP 16
URL:https://www.youtube.com/watch?v=pheNOTMQ-ns

© 株式会社三栄