世界No.1韓ドラ『ムービング』出演 リュ・スンリョンが語る家族愛

世界で大ヒット中の韓国ドラマ『ムービング』に出演のリュ・スンリョン /(C)2023 Disney and its related entities

「ドラマを見てくださった人たちが、自分にとってもっとも大切なものは何なのかということを考えるきっかけになったらいいなと思います」

そう語るのは、いま、世界で大ヒット中の韓国ドラマ『ムービング』(ディズニープラス スターにて独占配信中)に出演しているリュ・スンリョン(52)。ディズニープラスの韓国オリジナル作品でもっとも視聴された本作で、元秘密要員の超能力者チャン・ジュウォンを演じ、世界から注目されている。

莫大な製作費が投じられ、VFXなどの最新技術によるアクションシーンも話題を呼んでいる。どんな傷もすぐに回復する、驚異的な再生能力を持つジュウォンの激しい格闘シーンは、吹き替えなしで臨んだという。

「これまでも多くのアクション作品に出演してきましたので、アクション演技の経験はかなり豊富なほうだと思います。準備のために特別な体づくりをしたというよりは、この体のまんまという感じでしょうか(笑)。心がけたところといえば、基礎体力をつけるためのトレーニングやストレッチを多めにしたという程度ですね。アクション監督やグラフィック映像の技術者たち、みなさんの力を結集したからこそ、素晴らしい作品に仕上がったんだと思います」

ぽっちゃり体形の優しい高校生、キム・ボンソク(イ・ジョンハ)と、転校生のチャン・ヒス(コ・ユンジョン)の出会いから始まる物語は、超能力者を次々と狙う連続殺人事件が発生したところから一気に加速。続く2章では、十数年前に遡り、ボンソクの母イ・ミヒョン(ハン・ヒョジュ)と父キム・ドゥシク(チョ・インソン)、そして、ヒスの父チャン・ジュウォンが国家安全企画部の秘密工作員だった時代が描かれる。

超能力者ゆえに国家の陰謀に翻弄される親世代と、その能力を受け継ぎながらも、多様性を認めない社会のなかで能力を隠して生きる子供世代。親子二世代が抱える苦しみや悲しさを描く本作は、単なる超人たちのヒーロー物語ではなく、家族の強い絆と深い愛情が主軸となっているところが最大の魅力だ。

時代が現代に戻る最終章では、子供たちに迫る危険を知ったジュウォンたちが再び、闘いを決意する姿が描かれる。

「親世代と子供世代が巨大な悪に立ち向かうために共闘する、この壮大なスケールの物語がいちばんの見どころだと思います。ジュウォンとしては、体は衰え、超能力も以前ほどはないなかでも、愛する妻が残した娘のヒスを守るために孤軍奮闘しますので、ぜひ、最後まで集中してご覧いただきたいです」

原作は韓国の人気ウェブトゥーン漫画で、原作者自身が脚本を手がけた本作。このドラマが伝えかったメッセージとは?

「自分にとっていちばん大切なものは何なのか? ということを改めて問いかけた作品だと思います。近年、世界中がコロナ禍を経験し、平凡な日常や身近な人や家族の大切さというものを改めて感じたと思います。この作品を通して、家族のありがたさや、自分にとって最も大切なものは何かを考えるきっかけになればいいなと願っています」

そこで、リュ・スンリョンさんにとっていちばん大切なものについて尋ねると、やはり家族だという答えが返ってきた。

「心臓のように何にも代えがたい妻、そして2人の息子です」

リュ・スンリョンといえば、韓国で観客を動員数1位を記録した映画『バトル・オーシャン海上決戦』(’14年公開)などに出演する韓国きっての名優。次々と世界的ヒットを飛ばす韓国作品の強さについてこう語った。

「物語を作るうえでいちばん肝心なことは、ある出来事に対してなぜこういうことが起こらざるを得なかったのかという疑問、または動機づけです。その意味では、韓国という国は、人口密度が高く、かなり激しい競争に晒されている社会で、さまざまな問題を浮き彫りにしやすく、誰もが共感するような作品が生まれやすい環境なのではないでしょうか」

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