古アパートで女性を強姦、父親を殺し現金を奪った悪辣事件の真相は!? 追い詰められた人間の闇と狂気を描く『アーバンクロウ』シモキタ「K2」で公開中

『アーバンクロウ』©ツチプロ

20年以上前に発行された鐘下辰夫著「アーバンクロウ – 呼吸(いき)もできない」を現代社会に置き換えた、初の映画化作品『アーバンクロウ』が、2023年10月6日(金)よりシモキタ-エキマエ-シネマ K2で公開中だ。

ツチプロ製作1作目『遠吠え』(2022年劇場公開作品)で主演を務めた橋本一郎を、今回は監督・主演として大抜擢。オーディションで選ばれたヒロインは、初主演とは思えない不思議な存在感をもつ新人女優、咲貴(さき)。脇を固める津田寛治ほか経験豊かな豪華キャスト陣と業界の垣根を超えたスタッフィングにより、『遠吠え』とはまた違った楽しみ方のできる作品に仕上がっている。

あなたは何を見て、何を信じますか?

ある夏の日。都内の古めかしいアパートの一室で殺人事件が発生した。犯人は住民の女性を強姦し、現金を強奪。さらに偶然やってきた女性の父親を撲殺するという凄惨な事件で あった。被害女性の父親が、不動産業を営む資産家であったことから「円山町資産家強盗殺人事件」と称され、その動向はSNSを騒がせていた。

その事件現場のアパートでは、刑事の赤井一郎が重要参考人である被害女性・望月澪の監視任務にあたっていた。そこに、とある事がきっかけで赤井にパワハラを行うようになった上司の来栖がやってくる。

来栖は容疑者として警察庁関係者が浮上した事から、事件が揉み消されるのを恐れ、その焦りを赤井へぶつける。望月澪から証言を引き出せと命令された赤井は、友人で週刊誌<黎明>の記者・藤堂に助けを求めるが 、赤井の目論見とは裏腹に藤堂は、この事件が澪の自作自演、もしくは犯人と繋がりがあると推測し澪を執拗に追い込んでゆく。耐えきれなくなった澪は……。

追い詰められた人間の心の闇と狂気、そして現代の社会的背景を炙り出すクライムサスペンス

本作の監督を務めた橋本一郎は、成城大学映画研究部出身で、俳優として活動する傍ら、自身でも定期的に自主映画を製作しており、その経験を買われて抜擢。過去監督作には『陸軍特務伝令隊~『英霊』たちの戦場~』や『革命手』などの中編作があり、戦争や人の生死をテーマとして扱う作品を多く手がけている。

今回は橋本にとって長編作品のうえ、主役を演じながら監督するという大きな挑戦となった。しかし、キャラクターを丁寧に描こうとする橋本監督の想いを撮影監督の斎藤文がしっかり受け止め、見応えあるヒューマンサスペンスに仕上がっている。

本作はまた、舞台プロデュースを主に活動してきた土屋士率いる<演劇集団ツチプロ>とCMプロデューサー・早川玲奈が再びタッグを組んだ2本目の映画作品でもある。1作目の『遠吠え』同様、都会に生きる生きづらい人間たちを描きながらも、現代社会の抱えるハラスメントやSNSも絡み、全く違ったテイストの作品となった。

主役の刑事赤井を演じる橋本一郎とヒロインにはオーディションを勝ち抜いた新人女優の咲貴(さき)、そして津田寛治、林田麻里、小飯塚貴世江ほか実力派の豪華キャスト陣が実力を発揮している。また、新たなスタッフとしてCMを中心に活動する照明の小平淳夫、フランス人の音楽ディレクターFrance Audonを迎え、映像作品としても質の高いものになった。

『アーバンクロウ』はシモキタ-エキマエ-シネマ K2で2023年10月12日(木)まで公開中、全国順次公開

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