黒船来航で“開国”  幕末の福山藩主・阿部正弘 「苦しみながら時代進めた」 特別展開催中 広島・福山城 

江戸時代末期に日本の舵取りを担い、「開国」の歴史を開いた人物が福山藩主、阿部正弘です。この阿部正弘をテーマにした特別展が、福山城で開かれています。

阿部正弘は18歳で福山藩の藩主になると、その聡明さから数々の要職を務め上げ、25歳の若さで江戸幕府の「老中」に就任します。2年後には老中職のトップ、今でいう「総理大臣」にあたる「老中首座」となり、国政をリードします。

福山城博物館の皿海弘樹 学芸員は、肖像画に正弘の人となりが垣間見えると言います。

福山城博物館 皿海弘樹学 芸員
「鬼神をも屈服させるくらい柔らかな方であったと。目元涼やかで鼻立ちも良く、今で言うなれば“イケメン”」

ペリー提督率いる「黒船来航」に直面し、「開国」の歴史を開く「日米和親条約」の締結を進めた正弘ー。作品からも当時の緊張感が伝わってきます。

その一つが、正弘が持っていた護身用の手槍です。

福山城博物館 皿海弘樹 学芸員
「(ペリー提督の)2回目の来日の直前に入手したのが、こちらの槍です。正弘公としても暗殺を恐れたのではないかと推測されます。(鎖国政策という)幕府のしきたりを破るわけですので、自分の身を守る必要があった」

また、ペリー提督から日本へ圧力があったことをうかがわせる資料もあります。それがアメリカとメキシコが戦った戦争の版画です。アメリカの圧勝で終わった戦争の版画を贈ることで、暗に「開国」を迫っています。

福山城博物館 皿海弘樹 学芸員
「こちらの版画絵、ペリーが正弘公に贈ったという、そうした逸話の残る作品。一種の脅しのようなものが含まれた贈答品であると言えると思います」

他にも、正弘と交流のあった徳川斉昭や、正弘によって命を救われた吉田松陰らの作品もあります。

福山城博物館 皿海弘樹 学芸員
「日米和親条約という日本とアメリカ初の公式な条約でございました。正弘公がいかに苦しみながら時代を進めていったか、ご覧いただきたいと思っております」

特別展「阿部正弘と日本開国」は来月19日まで開催されます。

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