鈴木宗男参院議員、日本維新の会を離党 馬場代表、藤田幹事長の処分通達前に離党届提出〝除名ブーメラン〟回避

日本維新の会の鈴木宗男参院議員(75)が10日、馬場伸幸代表(58)に離党届を出し、受理された。同党に無届けでのロシア渡航を除名相当とした党紀委員会の最終答申を受け、馬場氏と藤田文武幹事長(42)は処分を通達するため国会内で面会したが、宗男氏は通達前にその場で離党届を書く荒ワザで除名を回避した。今後は無所属で活動するとし、議員辞職は否定した。

参院懲罰委員長として、ドバイに滞在したまま国会に登院しなかったガーシー被告の参院議員除名案を決議した宗男氏。自らの海外渡航をめぐって党から除名処分が下る〝ブーメラン〟が襲ったが、寸前でかわした。

参議院内の懲罰委員長室で行われた宗男氏と馬場氏、藤田氏の面会。いきなり波乱含みで始まった。「事実関係をしっかりさせたい。オープンな場にしたい」と弁護士と記者団を同席させようとした宗男氏に、馬場氏は「党の話し合いなのにおかしいでしょう」と猛クレーム。記者団は閉め出された。

除名処分の通達だけで終わると思われた話し合いは、1時間以上も続いた。宗男氏は会見で「結論は、私が日本維新の会を離党する。離党しますから、除名処分もないということであります」と説明した。

国会内で会見した藤田氏は「党紀委員会で除名相当との答申が出た」と説明。鈴木氏に通達するためにアポイントを取ったが、通達前に鈴木氏から「党に迷惑をかけたので身を引きたい」との申し出があり、馬場代表と話し合った結果、受け入れたと経緯を説明した。この日、宗男氏を除名相当とする党紀委員会の答申を受け、処分を一任されていた馬場氏と藤田氏が協議。「除名」の最終判断を下したが、宗男氏が機先を制した形となった。

宗男氏は「私が先に離党した以上、処分はできないと馬場代表も藤田さんも言っておられた。そりゃそうでしよ。党から離れた人を処分できませんよね」と強調。離党理由については「日本の国益に関わる対ロシア外交においては乖離(かいり)がありすぎた。今のままの日ロ関係であってはならない。ウクライナだけとの関係で日本が生きているわけじゃない。ロシアとの隣国外交は極めて重要だという中で決断をした」と、騒動の引き金になったロシア外交に対する認識の違いとした。

党に必要な手続きをせず訪ロした手続きミスよりも、モスクワで通信社スプートニクとのインタビューに「ロシアが100%勝つ」などと話したことに、党内から問題視する声が上がった。宗男氏は「東京でも、札幌でも同じことを言っている。なぜロシアで言ったことが問題になるのか、不思議でならない」と反発した。

2019年7月の参院選で、日本維新の会から全国比例で出馬し当選した宗男氏。今後は無所属で活動するとし「私は22万742人から鈴木宗男と書いていただきました。思いをしっかり背負って頑張ってまいります」と、議員辞職は否定した。

誰よりもロシアと向き合ってきた政治家として、これからもロシアに向き合うと強い信念をのぞかせた宗男氏。「決意を新たに、また第一歩から頑張らないといけない。私には最強の後援者、最強の家族がいる。何があっても、あきらめずにめげずに歩いてまいります」と、北の大地を意識していた。

(よろず~ニュース・杉田 康人)

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