手話交え「国が許せない」 不妊手術強いられた聴覚障害の女性 旧優生保護法訴訟、神戸で第2回弁論

神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、聴覚障害がある兵庫県内の女性2人が国に損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が10日、神戸地裁(島岡大雄裁判長)であった。原告の女性は手話を交えながら「法律を作った国が許せない」と訴えた。

 訴状などによると、原告は神戸市の女性と県内に住む女性でともに60代。80~90年代に帝王切開で子どもを出産した際、不妊手術を説明なく強いられたなどとして国にそれぞれ3300万円の賠償を求めている。

 弁論で県内の女性は「手術後に母親から『産めない』と伝えられた」と明かし、「その後も夫に伝えることはできず、2人目がほしいと頑張っていた夫は私が妊娠しないので諦めた」と主張。「もし手術がなければ3人くらい子どもがいて、楽しく暮らしていたと思う」と伝えた。

 原告側の代理人弁護士らも「被害者が傷つけられたのは身体だけではない。子どもを産んではいけない者、存在すべきではない者としての烙印を押された」などと訴えた。

 この裁判で国側は、賠償請求権が消滅する「除斥期間」(20年)の適用を主張し、訴えを退けるように求めている。

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