ジャパンカップ「アジア最高位」に定着 スター集結、ファンも熱く 30回目の大会13日開幕 輪都駆ける㊤「成長」

1992年11月の第1回大会。ヘンドリック・ルダン(右、ベルギー、ロット・MBK)が初代王者に輝き、ジャパンカップの歴史が幕を開けた

 「宇都宮、全国、世界の自転車ファンを夢中にさせると確信している」

 9月中旬、宇都宮市で開かれた「2023ジャパンカップサイクルロードレース」の記者発表会。大会実行委員長の佐藤栄一(さとうえいいち)市長は、30回記念大会の盛り上がりに自信を見せた。

 今大会には、世界最高峰カテゴリー「ワールドチーム」から最多タイの7チームが参加する。世界選手権連覇のジュリアン・アラフィリップ(フランス)、ツール・ド・フランスなど世界三大レース通算7勝のクリス・フルーム(英国)らスター選手も集結。豪華な顔ぶれがそろう。

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 ジャパンカップは、1990年に市森林公園などで開催された世界選手権のメモリアルレースとして、2年後の92年に創設された。国際自転車競技連合(UCI)公認の「クラス1」からスタートし、2008年に当時最高ランクのプロツアーに次ぐ「オークラス」に昇格。20年にはオークラスとクラス1の一部を統合し新設されたカテゴリー「プロシリーズ」に国内で唯一認定された。認定後初のレースは新型コロナウイルスによる中止を経て昨年、実施された。

 格上げされた要因は、大会運営の質の高さ、レースで使用するコースの難易度の高さなどへの評価がある。

 「海外のトップチームが出たがっていると連絡が来るようになった。この大会で勝つことが名誉なことと認知されている」。宇都宮ブリッツェンの広瀬佳正(ひろせよしまさ)ゼネラルマネジャー(45)は大会の成長を実感する。

 「本物の走り」を目当てに、全国から集う「ファンの熱」も大きい。

 今季、ワールドチームのバーレーン・ヴィクトリアス(バーレーン)からブリッツェンに移籍してきたフォン・チュンカイ(台湾)は「過去何度か出場しているが、毎回ファンの熱量に驚かされる」と語る。大会の盛り上がりが、スター選手を引き寄せる魅力となっている。

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 市、競技関係者、ファンが一体となり、30回を数えるまでになった大会。アジア最高位のワンデーロードレースとしても定着した。

 次に目指すのは、世界トップカテゴリーのワールドツアーだ。18年には佐藤市長がUCI本部役員から、レース格上げを提案されている。佐藤市長は「だいぶ機は熟してきた。もう一押し」と手応えを強調。宇都宮が世界最高クラスの「輪都」になる日も決して夢ではなさそうだ。

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