兼六園に音声ガイド 14日から無料公開

音声ガイドサービスの画面

  ●徽軫灯籠など30カ所でスマホから/人手不足や個人客増対応

 兼六園観光協会は、国民文化祭(いしかわ百万石文化祭2023)が開幕する14日から兼六園の音声ガイドサービスを始める。スマートフォンの位置情報機能を利用し、徽軫灯籠(ことじとうろう)などの名所を訪れると音声が流れる仕組みで、案内ガイド不足や個人客の需要増に対応する。国文祭中は試用期間として無料公開し、来年の一般開園150年に向け、外国語版も整え、石川の文化観光を国内外の来園者にPRする。

 音声ガイドは「兼六園めぐり」と題し、スマホに表示された園内の地図上の音声スポットを巡ってもらう。2次元コードを読み取り、サイトにアクセスすれば利用でき、アプリのダウンロードなどは必要ない。データ通信や電池使用量を抑えた仕様にした。

 スポットは約30カ所あり、スマホを持って近づくと音声ガイドが流れる。国内最古の噴水、唐崎松のほか、沈砂(ちんさ)池、鶺鴒(せきれい)島など、あまり観光マップに載らない名所も取り上げた。

 徽軫灯籠では「箏の糸を支える琴柱に似ている」など一般的な情報に加え、元テレビ金沢アナウンサーの戸丸彰子さんの解説で「江戸時代、左右の脚の長さが同じだった」「曲水のそばの敷石は実は水道管」など、より深い説明を聞くことができる。

 兼六園観光協会によると、園内のガイドツアーは北陸新幹線開業後、個人客の需要が増加。多い時には年間約8千人の利用があったが、案内ガイドの人員不足や高齢化、個人客の多様なニーズ対応など課題があった。

 コロナ以降はツアーの中止を余儀なくされたこともあり、北陸新幹線県内全線開業に向けた県の「先導的プロジェクト推進事業」の支援を受け、デジタル化を図ることにした。

 国文祭期間中の14日~11月26日、音声ガイドを無料公開し、来年の開園150年に向けサービスに磨きを掛ける。同協会は、県観光連盟の「文化観光推進ファンド(基金)」の認定を受けており、金沢城・兼六園研究会などと連携しながら、付加価値の高い兼六園の体験ツアー造成に活用する。

 水や緑、庭師の技などをテーマとしたSDGs(持続可能な開発目標)学習、園内の苔や花、野鳥などの生態系、庭園文化など、兼六園を訪れる目的に合わせた音声ガイドを作成していく。英語、中国語などの多言語化を図る。

 兼六園観光協会の宇田直人理事長は「ガイドを利用し、観光客はもちろん、県民にこそ名園の価値と魅力をあらためて知ってもらいたい」と期待した。

© 株式会社北國新聞社