富山県開発の無花粉スギ、県外出荷最多 「立山 森の輝き」1万2300本

伐採跡地に植えられた無花粉スギ(手前)=県内

 富山県は、普及を目指す優良無花粉スギ「立山 森の輝き」について、2023年度は県外に過去最多の1万2300本の苗木を出荷する予定だ。政府が花粉症を「社会問題」として位置付け、発生源対策に力を入れており、県外からの需要が伸びている。10日に県民会館であった県森林審議会森づくり部会で説明した。

 政府が5月に打ち出した花粉症対策では、10年後に苗木の9割以上を花粉飛散の少ない品種にすることなどが盛り込まれ、無花粉スギの注目度も増している。

 「立山 森の輝き」は県が独自に開発。県外への出荷本数は、20年度が福井県に5千本、21年度は同県に7900本、22年度は福井、石川、新潟の3県に計4100本だった。23年度はこの3県に22年度の3倍の本数を出荷する。

 県森林政策課は部会で、苗木の年間の生産目標本数について、現状の10万本から26年度に20万本に増やすと説明。一方、県内での植栽面積は、森林所有者との調整が進まないケースがあり、植栽箇所を十分に確保できず、現状では目標を下回っている。同課は「増産しても県内だけで植栽できるかどうかはまだ見通せないため、県外とのパイプを今のうちから持っておきたい」と話した。

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