住民からアイデアを募集し、住民が投票で事業を決める…杉並区が新たに導入した“参加型予算”とは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。10月2日(月)放送の「HOT Word」のコーナーでは、杉並区が導入した“参加型予算”について取り上げました。

◆区民が投票で使い道を決める"参加型予算”

杉並区では住民が予算の使い方を決める「参加型予算」を導入。10月1日から区民による投票が始まりました。今回、投票で決めるのは、森林整備や木材利用促進のために国から配分される6,200万円の「森林環境贈与税」の使い道です。

その手順としては、まずは区民から使い道を募集。今回57件の提案が寄せられ、そのなかから「街中に木製ベンチを設置」、「児童施設に木のおもちゃを用意」、「災害時用の用具を公園に設置」など区が10個の候補を選定。区民は10月中にインターネットと郵送で3件まで投票可能となっています。そして、得票数の多い3つの事業が区の予算編成を経て区議会で決議され、事業が実施される流れになります。

◆杉並区の試みに、識者たちの見解は?

この新たな仕組みについて、経済アナリストの馬渕磨理子さんは「SNSには"迎合主義”という声も見かけたが、私は素晴らしいことだと思う。特にインフラや環境に関することは住民を巻き込んでいったほうがいいと思うので、これを上手く使っていくのはアリだと思う」と肯定的。「このほうがいい街づくり、社会づくりができると思う」と期待を寄せます。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、区政が区民主体になることは賛成する一方で「生活環境が整備されていたり、(代議士)制度に対する信頼度が高ければこうしたものは必要ないはず。そうしたものへの信頼度が低いからこそ参加型予算のようなアイデアが出てくるわけで、そのあたりは難しいところ」と逆説的に現代社会の問題点を示唆。

脳科学者の茂木健一郎さんは「やっぱり杉並区は行政のあり方が面白い」と杉並区を称えつつ、「大空さんが言うこともわかる。ただ、僕自身、住んでいる区の政治にそんなに関心を持っていない。でも、これをきっかけに関心を持つ。それはすごく大きいと思う。お金よりも(区政に)関心を持たせるためのきっかけになる」と高く評価。

大空さんは大きく頷き、「これはきっかけのコスト、広報のコスト」と同意します。しかし、本気で参加型予算、区民主体の政治をやっていくとなると莫大なコストがかかるだけでなく、「区民は区議会(選挙)で投票し、その後にもう一度投票しないといけない。二重のコストがかかっている」と大空さんは指摘。

さらに大空さんは「生活に余裕がない人たちがいるなかで、投票というひとつのプロセスで声を吸い上げるには限界がある。どうせやるのであれば、学校で投票してもらうなど違う角度の取り組みが必要」と懸念すると、茂木さんは「僕は(参加型予算における区民の)"投票率”が気になる。どれくらいになるのか」と着目していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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