F1、予算規則を変更し設備投資への追加支出を認める。アルファタウリなど下位4チームは約30億円増額

 F1は小規模チームに利益をもたらし、より競争力のある環境を作り出すために予算制限レギュレーションを変更した。

 小規模チームの主な課題のひとつは施設への投資能力であり、大規模チームと比較するとその点で不利な立場にある。以前のルールでは、ウイリアムズのようなチームは設備投資が年間約600万ドル(約8億9000万円)に制限されていた。このルールによって新たな施設や機械に投資する能力が制限され、トップチームとの差を縮めることは困難だった。

 予算制限に対する新たな変更は、小規模チームが設備投資に支出できる金額を増やすことで、この問題に対処するものだ。これにより小規模チームが新たな施設や機械に投資する機会が効果的にもたらされ、彼らのさらなる競争力の向上が促進される。

 チーム間で合意に達するために、F1はフィールドを3つの層に分けて具体的な許容額を割り当てた。レッドブル、メルセデス、フェラーリのトップ3チームの設備投資制限額は5100万ドル(約76億円)となり、当初の計画から600万ドル(約8億9000万円)増加した。伝えられるところによると、FIAは大規模チームに追加手当を与えることを望んでいなかったが、インフレを考慮すると増額は必要だったという。

ブラックリーにあるメルセデスの拠点の完成予想図

 F1の第2層はマクラーレン、アルピーヌ、アストンマーティンで、予算制限は1300万ドル(約19億円)増額されて5800万ドル(約87億ドル)となった。最後に第3層のチームであるアルファタウリ、アルファロメオ/ザウバー、ハース、ウイリアムズは、2000万ドル(約30億円)の増額を受けて、支出制限は6500万ドル(約97億円)となった。

シルバーストン・サーキット近郊に誕生したアストンマーティンF1のファクトリー

 ウイリアムズF1のチーム代表ジェイムズ・ボウルズは、夏の間にF1の下位チームに対する追加の支出許可を強く求めていたので、合意に至ったことに感謝した。

「私からするとよいニュースだ。すべてのチームが協力したことで、我々は約2000万ドルの追加額を引き出すことができた。2月以降、充実した議論が行われ合意がなされた」

「今では設備投資のために支出できる。私が期待していた1億ドル(約149億円)ではないかもしれないが、それでも正しい方向に向けた素晴らしい一歩だ」

「半年経って合意に至った金額には高低差があるので、トップチームは下位チームほど多くの額を得ることはないだろう。我々はより多くの恩恵を受けており、ある程度の施設の充実が期待できる」

2023年F1第18戦カタールGP ジェイムズ・ボウルズ代表(ウイリアムズ)

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