「正当化しながら使い続けるような現象が」SNSで“売人”とつながり…若者にまん延 大麻が簡単に手に入る理由

2023年8月、浜松市で16歳の男子高校生が大麻などを所持したとして、逮捕される事件がありました。高校生はSNSなどを通じていわゆる“売人”とつながり、浜松市内で直接大麻などを購入していたとみられることが分かりました。

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若者にまん延する大麻は静岡県内でも簡単に買えてしまうのか。夜の繁華街で、若者に実態を聞きました。

<男性(20)>
「先輩が売っているみたいな話が回って来たりはありました。『高校の時の2コ上の先輩とかが大麻売ってるらしいよ』とか」

大麻所持の疑いで浜松市に住む16歳の男子高校生が逮捕、家庭裁判所に送致されました。浜松市内で警察官から職務質問を受けた男子高校生は、大麻をすりつぶす道具や巻き紙を所持していたことから発覚。自宅からは液体大麻なども見つかりました。

高校生が大麻を所持していたという衝撃的な事件。29歳以下の大麻に関する静岡県内の検挙者数は、2020年から3年連続で100件を超えています。

若者にまん延する大麻。県内でも大麻は簡単に買えてしまうのでしょうか。

にぎわいを見せ始める夜の繁華街で、飲食を楽しんでいた21歳の男性は当然のように答えました。

<男性(21)>
「いまの若者って、携帯ひとつですぐ手に入る時代なんで、周りで全然チラホラ友だちとかで捕まっている人とかも全然いるんで」Q逮捕されるのは、どれくらいの年代?10代多めで、あと20代前半とかが多いですね。20代後半とかになってくると経験の差で捕まらないようにうまくやる人が多くなってくるんで」

若者はどんなきっかけで大麻に手を染めるのでしょうか。

<男性(20代)>
「先輩とか友だちとか断りづらい状況を作られて、やっている子たちも初めてそれでやって、ハマっちゃってみたいな感じもあるんじゃないですか」

大麻の入手ルートについては。

<男性(10代)>
「磐田に(売人が)いるんですよ。その人が栽培してるっていうのは聞きます」

「“売人”は浜松市内に複数いる」「SNSで注文し、“売人”から直接受け取る」聞こえてきたのは、誰でも簡単に買えてしまう実態でした。

<山口駿平記者>
「SNS上での大麻の販売状況を調べてみます。浜松で大麻を意味する隠語で調べてみます」

大麻を示す隠語としての「野菜」や手渡しを意味する「手押し」といった隠語を入力してみると・・・。

<山口駿平記者>
「24時間以内の間でも、3件ほど大麻販売の投稿が出てきます。調べ方さえ知っていれば、簡単に出てきてしまう状況ですね」

こうした実態を警察も把握していて、摘発を強めています。しかし、大麻への抵抗感を抱かせないよう大麻の幻覚成分を混ぜたクッキーやチョコレートなどが出回っているほか、近年では1本2万円ほどで買えてしまうリキッドタイプのものが広く流通しています。

薬物などの依存症からのリハビリ施設「スルガダルク」。施設長の白鳥さんは、幻覚などの後遺症に苦しむ人たちを見てきました。

<スルガダルク 白鳥裕也施設長>
「10代のうちにクラブで遊び感覚で始めたのが原因で、薬をやめて、15年20年経っても幻覚だったり、幻臭がなくならなくて、ずっと治療を続けてきた人もいます。最終的には、残念なことに幻聴に支配されてしまって飛び降りてしまうという事故につながるようなケースもあります」

大麻は覚せい剤など、ほかの薬物への「入口」となる「ゲートウェイドラッグ」と言われてきましたが、白鳥さんはその傾向が近年、変わりつつあると感じています。

<スルガダルク 白鳥裕也施設長>
「大麻の人はずっと大麻に行き留まるというか、大麻オンリーで依存している人が目立ちますね。大麻を正当化しながら、使い続けるような現象が起きているんじゃないかと」

「多くの友人が大麻に手を染めてきた」と当たり前のように話した20歳の男性。彼が漏らした若者が大麻にひかれる理由が印象的でした。

<男性(20)>
「社会的になんかあるんじゃないですか。会社内でとかいじめとか、そういうのでもう嫌になったりとかじゃないですか。ストレス発散する場所ってないじゃないですか、やっぱり」

大麻は簡単に手に入ってしまいます。手を出した末に待っているのは、後遺症と後悔です。

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