いろいろな種類の保冷剤がある中で、最近増えてきているパック型の保冷剤。使う際はわざわざ水を入れて中身を作らないといけないものですが、そこまでしても人気を博してるのは、それだけ冷やせる力や持続力があるという実感があるからなのか…?今回はパック型保冷剤というジャンルに絞って、普通の氷と比べてどのくらい違うのかを明らかにしたいと思います。
パック型保冷剤を購入
最近にわかに流行っていてる「パック型保冷剤」。いくつかの種類がありますが、3つほど購入してみました。
まず、購入したものを順にご紹介していきましょう。
パック型保冷剤【1】クーラーショックSサイズ 1,480円(税込)
一つ目はクーラーショックSサイズです。
1個で1,480円というなかなかのお値段ですが、それでも買った人から満足する声が続々と生まれているかなりの人気商品のようです。
もともと血液輸送で使われていた技術から応用して誕生した保冷剤ということで、−7.8℃の低温が長時間維持するように設計されているそうです。
内容物はシリカと塩化ナトリウムが主成分。
決まった量の水を入れてしっかり栓をして凍らせます。
パック型保冷剤【2】アイスパワーMサイズ2個入り 1,430円(税込)
続いてアイスパワーMサイズという商品で、水を入れて凍らせるというやり方は全く同じです。
注ぎやすいように漏斗のようなものがついてます。
価格は2個入って1,430円でしたので1個あたりの値段はクーラーショックの半額ぐらいということになります。
クーラーショックSサイズとアイスパワーMサイズは保冷剤の容量としてはほぼほぼ同じくらい。凍らせる時間もそれぞれ8時間とされていますので、比較的短時間で凍る製品ということですね。
これはパック型保冷剤の特徴の一つかもしれません。
アイスパワーは、まず保冷時間の持続力が一般の保冷剤より長い。保冷能力(どれくらい冷やせるか)も一般の保冷剤より冷えるとされていますが、こういう特徴があるとすると今のクーラーショックの人気も頷けます。
パック型保冷剤【3】アイスインパクト300 6個入り 2,800円(税込)
今回もう一つ入手したのが、キャンパーズコレクションのアイスインパクト300という商品です。
同じように水を入れて作るタイプの保冷剤ですが、内容物見ると塩化ナトリウムとシリカ系の物質。だいたい多く含まれてる順に書かれてると思いますので、クーラーショックと比べると順番が逆です。
アイスインパクトは中に入れる水の量が300mlなので先の2種類と比べると50mlほど差がありますので、全く同じ条件として比較はできませんが、結果は50mlの差があるということも踏まえて考えられるといいかなと思います。
アイスインパクトだけは先の2種類と違う特徴が書かれていて、2.5時間で凍結可能って書いてあるんですよね。
こんな短い時間で使える保冷剤ってあんまり聞きませんが、2.5時間で凍結させて5.5時間0℃以下をキープできるということで、これは凄そうですよね。
ただ、このアイスインパクトはAmazonだと1個で売ってなくて、最小単位6個入りでした。
アウトドア専門店やホームセンターだと1個で売ってるかもしれませんが、1個あたりのコスパは高いです。6個セットが2,800円でしたから、1個当たりがなんと466円。
これなら、従来の一般的な保冷剤とそんなに変わらない価格です。
ただ先の2つに比べて能力が落ちるなら、値段も安くてそれなりということになるので、今回検証してみて性能を明らかにしてみたいなと思います。
あと、この2.5時間っていうのが信じがたいので、もう1個使ってこれらと同じく8時間以上しっかり凍らせたものと、公表されている2.5時間だけ凍らせたものを比較すると、違いもわかると面白いんじゃないかなと思いました。
保冷比較実験をしてみよう!
各パック型保冷剤と、350mlのお水を入れたペットボトルを凍らせた普通の氷、それと350gの一般的な青色の保冷剤、この6種類でテストしてみようと思います。
評価したいのは、どのくらい温度が下がってるかっていう冷却力と、低温環境をどのくらい維持できるかという保冷時間を比較していきます。
まずは見た目のかっこよさを比較
アウトドア用品なので、見た目もかっこいいに越したことないですよね。
比べた中で一番かっこいいのは、筆者の主観ですがクーラーショックかな。プロが使ってる保冷剤という感じがしますよね。
キャンパーズコレクションはちょっとかわいい。アウトドア専門店に置いてあると、ちょっと目を引くデザインだなと思います。
アイスパワーは、ロゴが昔のファミコンソフトのオープン画面を思わせるようなレトロな感じだなと思いました。
実験開始 まずは準備から
まずは、パック型保冷剤の準備から始めていきます。
それぞれ必要な水道水を本品注ぎ、その後、空気を抜きながら付属のシリコンコルクで栓をし、スクリューキャップを隙間がなくなるよう根元までしっかり締める。
水は一気に入れずに、まず少し入れて行き渡るようにちょっと揉んでから足してって作った方が、粉がダマになりにくくていいという話を聞いたので、その感じでやっていきます。
触った感じは、いわゆるジェル状の保冷剤と同じような感じですね。この状態で売ってれば楽なのにと思ってしまいましたが。
アイスパワーには漏斗が付いていました。絶対ついてた方がありがたいですね。
アイスインパクトに入れるお水の量は300mlです。
こぼしたり、一気に入れて溢れたりということが簡単に起きそうなので、作る際にはちょっと注意が必要ですね。アイスインパクトは、同じようにしてもう一個作りました。
これで、まず3つを冷凍庫で凍らせます。
5時間半後に、もう一つのアイスインパクトを入れて2時間半凍らせましょう。
会場セッティング
試験会場の温度は26.8℃です。
同じ大きさの発泡スチロール箱を6個用意して、中にはそれぞれ500mlの水が1本と、保冷剤をが入れて予冷をしています。
試験対象の保冷剤達に中身を入れ替えていきますが、その後はあまり蓋を開け閉めしない方がいいと思って、温度計を刺して測定をしていこうかと思います。
小さな穴だけが開くので、抜いたら上からさらにテープを貼って空気の流入だけは止める感じにして時間と共に冷却能力の違いを見ていきます。
実験結果
時間経過とともに、庫内の温度を計測していきます。
30分経過
30分経って室内は27.3℃です。まず序盤は、中の温度がどれくらい低くなるかというところがポイントでしょう。
30分で、これだけ庫内の温度に違いが出ていました。
やはり保冷剤というのは、氷よりも冷却力があるということが分かりますし、よくある保冷剤よりも、パック型はより庫内を冷やしていることが分かります。
アイスインパクトは、クーラーショック、アイスパワーと比べると冷却力がちょっと落ちるようですが、これもクーラーショックと比べて0.4℃ですからそこまで大きな差ではありません。
面白かったのが、アイスインパクトは、そもそも2.5時間凍らせれば使うことができますと謳ってるのですが、そのギリギリ2.5時間凍らせたものと、一晩8時間凍らせたものを比べると、やはり長時間凍らせた方がより良いのかなという感じに今のところ見えます。
ただ、それでもちょっと落ちるくらいなので、2時間半ですぐ使えるようになるというのは大きいですよね。
ちなみに、ダイソーの保冷剤と氷は24時間以上冷凍庫に入れておいたものです。
引き続き見ていきましょう。
2時間経過
2トップは、それなりに温度が上昇していますが、まだ結構冷えています。
アイスインパクトは、しっかり冷やしたものは食らいついていますが、2.5時間だけ凍らせたものは温度がかなり上昇してきています。
面白いのが、ダイソーの昔からある感じの青い保冷剤です。2時間後も温度が変わっていません。
氷はちょっと上昇しましたね。
4時間経過
暑いですね。さらに室内の気温は上がっています。
4時間が経過して、最初独走してた2トップはかろうじてまだ1位2位を保ってますが、すでに18℃台になっています。
アイスインパクトは18.9℃で、クーラーショックとの差が小さくなってきました。
水の量が50mlほど少ないので、それを加味すると持続力はこの時点でほぼ並んでるような感じと捉えてもいいんじゃないでしょうか。
2時間半凍らせたアイスインパクトは、もう終わりが来ていますね。
ダイソーの普通の青い保冷剤は、温度の変化が緩やか。冷却力はそんなにないけど、長く続いてる感じがします。
氷も保冷剤には負けるものの、似たような経過をたどっています。
6時間経過
6時間後の様子を見てみましょう。
ここまでの経過を分析してみると、やはりクーラーショックとアイスパワーの2種がずーっと強い経過をたどってますね。
6時間経過後、結果を考察
アイスパワーが、今回試した中では冷却力、そして6時間経過後の持続力も、一番高かったです。
ただ、クーラーショックとの差はそこまで大きくもないので、こういうパック型保冷剤というのは、やはり普通の保冷剤よりもよく冷えて長持ちするし、氷と比べるとその差はかなり大きいなということが分かりました。
アイスインパクトは、パック型の中で比べると一番負けてましたが、容量が300mlという点を加味すると、そこまで大きな差でもないのかなと思いました。
そして、2.5時間で凍結できるというアイスインパクトは、確かに2時間くらいまではまあまあ冷えてた感じがしますが、そこを過ぎてからは一気に冷却能力が落ちてしまった感じなので、もう少し長く凍らせた方がより持ちが良くなるということですね。
そして、ダイソーの保冷剤は、冷却能力こそパック型には負けていましたが、持続力はあって4時間後からはアイスインパクトを追い抜いて3番手につけていました。
普通の氷は、この中では冷却力、保冷時間ともに一番低い結果とはなりましたが、どこでも調達しやすくて、ペットボトルに入れて凍らせると最後水として使えるという利便性がありますし、コストもほぼかからないので、メリットのある冷却方法ですよね。
青い保冷剤は、氷よりも高い能力を有してるって事が分かりましたし、それでいて安く買えるので、これもコストパフォーマンスの良い保冷剤としてメリットがあります。
今回のパック型で言いますと、クーラーショックとアイスパワーは結構能力が高い。コスパも絡めると、アイスパワーがなかなかいいんじゃないかと思います。
アイスインパクトは、容量が違うから同じようには比べられなくて微妙ですが、1個あたりが500円以下で買えるので、それでいて冷却力も高いですからメリットはあります。
今回の検証でも、パック型保冷剤を数を増やして入れれば冷却力・保冷時間とも一気に伸びることになりますから、安く買えるパック型っていうのはいいと思います。
2.5時間凍結の2時間以内の使用だったら、実質かなり有効に使えるんじゃないかと思いました。
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パック型の結果を見ると、初期の冷却能力が非常に高いので、例えば日々の買い物で使う場合は、氷や普通の保冷剤よりもいいんじゃないかと思いました。
6時間経過後中身をチェック
最後に、6時間経過した後の中身を出してみましょう
クーラーショックは表面結露して濡れてますが、まだ氷の塊が残っています。まだまだ庫内は冷やせそうな感じがあります。
今回使用したのは、発泡スチロール箱。保冷材の表面が冷えてても、室温が29.1℃なので、その暑さと冷却力がミックスされた結果の数値が、今回の結果という事です。
だから、こういったパック型保冷剤は、大きさや数を増やせば増やすほど、そして使う保冷バッグやクーラーボックスも性能が高ければ高いほどより、強く長く冷やせるという事ですね。
アイスパワーも、ちょうどクーラーショックと同じくらいの氷の塊が残ってる感じです。
アイスパワーは、1.8℃前後でした。
クーラーショックは、アルミっぽい包装材が関係してるかもしれませんね。
アイスインパクトは、氷がほとんど残ってない。中心部はまだヒヤッとしてます。
2.5時間だけ凍らせたアイスインパクトは、ほとんど冷たさを感じません。
ダイソーの普通の保冷剤は、まだ冷たいですね。もうしばらく冷やせそうな冷たさは残ってます。
もしかしたら、パック型はソフトタイプでもう少し形が動くので、当たる面積が広いからペットボトルに対してピタッとついていたのかもしれないですね。
氷はまだしっかり残っていて、まだまだこの水自体は非常に冷たい。
冷却力・持続力共に優れているパック型保冷剤
今回は、パック型保冷剤に焦点を当てて検証してみましたが、最初の冷却力が高くて、それでいて割と長持ちするという特徴が実感できました。
その反面、コストが高いのがネックだったと思いますが、キャンパーズコレクションのアイスパワーのように、比較的安価なものも出始めています。
普通の氷や一般的な保冷剤とも比べてみましたが、氷点下タイプのものと比べるとどれくらい違うのかも興味が湧きましたので、今後また機会があれば色々検証してみたいなと思いました。
というわけで、今回は保冷剤選びの何かの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。