農業の温室ガス、見える化 テラスマイル(宮崎市)技術開発へ3億円超調達

営農支援システム「ライトアーム」の画面イメージ(テラスマイル提供)

 人工知能(AI)を活用した営農支援システムを手がけるテラスマイル(宮崎市)が、農産物の生産過程で生じる温室効果ガス(GHG)を見える化する技術開発を進めている。9月には農機メーカー系のファンドなど7社から総額3億3000万円の開発資金の調達を発表。消費者や企業の環境意識の高まりに対応できるシステムへの進化で、導入先の拡大を目指す。
 同社が2017年から提供する営農支援システム「ライトアーム」は、農作物の価格動向や地域の気象状況、ハウス内の環境データなどを自動で収集してAIで分析。生産者は最も収益が上がる出荷時期や、そのための作業スケジュール作成などに役立てることができる。
 開発を進める技術はライトアームに新機能として搭載するもので、ハウスの暖房稼働時間や肥料の使用量などからGHG排出量を自動で算出する。
 近年は大企業を中心に原材料生産や流通過程で排出されるGHGも把握して公開する動きが拡大。新機能はそうした流れに対応するもので、農産物販売を有利に進めることにつながると期待される。
 第三者割当増資による資金調達元7社にはヤンマーグループの投資ファンドも含まれ、同グループの農機と連動した排出量算出も見据える。
 セブン&アイ・ホールディングスや食品宅配のオイシックス・ラ・大地などの合同ファンドも調達元で、テラスマイルのシステムで算出するGHG排出量データの活用に関心を示しているという。
 自治体やJAなどを介して、20都道府県29産地の生産者約500戸にシステムを提供している同社。2年以内の新機能実装をアピールし、24年中に全都道府県へ導入先を拡大したい考えだ。
 生駒祐一社長は「全ての営農者を豊かにすることで国家を守ることが目標。調達資金を活用して農業の新技術分野の国内リーダー企業に成長し、世界へ挑戦していきたい」と話している。

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