Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」。今回は「運動神経」に関するハテナです。
だんだんと過ごしやすくなり少し体を動かそうかなと思っている人もいるのではないでしょうか? そんなスポーツの秋に寄せられた疑問が……。
「『運動神経』ってどんな神経?」(くますけ 54歳 玉野市)
脳と体の動きに詳しい徳島大学の荒木秀夫名誉教授に話を聞いてみました。
(徳島大学/荒木秀夫 名誉教授)
「脊椎にある細胞が筋肉を支配しているのを運動神経というのが本来、学術的にははっきりしている」
荒木教授によると、学術的な意味での「運動神経」は脳から筋肉に通じる神経の一部を指します。一般的には「運動能力」に近い意味で、「運動神経」という言葉が使われていますが、学術的なものとは全く違うものです。
(徳島大学/荒木秀夫 名誉教授)
「筋肉とか食事によって、運動学習にものすごく差が出てくるとか、ホルモンとか臓器とか全身がまとまって関与している。世間一般で言われる『運動神経』は、学術的な定義とはまったく違う」
「運動神経の差はどこから?」(マリタン 64歳 岡山市)
(徳島大学/荒木秀夫 名誉教授)
「まず基本的に第一のポイントとしては、人は顔も形態も性格も声も個人差があるのと同じように、運動も得意な子、不得意な子も出てくる。つまり個体差」
荒木教授によると、一般的に言われる「運動神経がいい・悪い」を分けるものは「個体差」です。
その上で「運動神経がいい人」に共通するポイントが「頭で考えた通りに体を動かせること」だということです。
そのために必要なのが……。
(徳島大学/荒木秀夫 名誉教授)
「『体幹を感じる力』があるからこそ、二の腕・上腕・手・体がこの神経の順番に刺激を与えてあげると、何が変わるかというと動きが変わるんじゃなくて、『動きの覚え方』が早くなる」
また、子どもたちにどんなスポーツをさせるのか……を考える上で、荒木教授は3つの点を大切にしてほしいと呼び掛けています。
1つ目が、子どもが興味を持つことをさせてあげること。
2つ目が、子どもが何も考えなくていい自由な時間を作ってあげること。
3つ目が、社会性をはぐくむために、助け合いや時にはけんかも経験できるようなコミュニティーにいさせてあげることです。
さらに、その根底にないといけないのが「無理やり」ではなく、子どもが「楽しい」と思える環境です。
(徳島大学/荒木秀夫 名誉教授)
「スポーツのまさに知る喜び・学ぶ喜び・できる喜び、それがあってこそ人間性が高まる、スポーツによる効果だと思うんですよね」
「運動神経は大人になってもよくなりますか?」(ぽんきち 40歳 岡山市)
(徳島大学/荒木秀夫 名誉教授)
「『運動神経が無いね』『子どものときから運動苦手なんです』とか言うんだけど、とんでもない。人間は死ぬ直前までいろいろな能力を伸ばそうとするものを持っている」
荒木教授によると、人間は年をとっても、鍛えることで脳細胞や運動細胞の減少を防げるとしています。
ここで重要なのが「モチベーション」です。
それは「頑張って運動しないといけない!」と思うことではなく「何かを変えてみよう」という意識が重要だということです。
階段を上がる時に右足か左足かどちらから上がるかを少し意識してみて、どちらが楽だったか考えてみる。買い物に行くときに楽になるような歩き方や道を探してみる。椅子から立ち上がって2、3歩歩くのでも構わないとのこと。
一番ダメなことは「無理だ」と諦めること。
何かをするときにいつも通りするのではなく、少しの目的意識を持つことが「動こう」「運動をしてみよう」というモチベーションにつながるということです。
(徳島大学/荒木秀夫 名誉教授)
「スポーツにやるかやらないか、やるために体操着着て、靴履いて……じゃなくて、ちょっとした日常的なところから始めたらいい。他人との比較ではない。きのうの私ときょうの私で比較すればいい。希望を持つ信念を持つ、諦める必要はありません。必ず人間は変わることができる」