レッドブルF1代表「今のペレスは本来の状態からかけ離れている」今後も最大限の支援をすると主張

 レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、セルジオ・ペレスの現状について「本来の能力からかけ離れていることを知っている」と述べ、今後も最大限に支援すると主張した。

 ペレスはF1第18戦カタールGPを10位でフィニッシュしたが、チームメイトのマックス・フェルスタッペンから75秒以上遅れるという散々なパフォーマンスだった。これにより、レッドブルが現在抱えるドライバー面の課題が浮き彫りとなった。ルイス・ハミルトン(メルセデス)がレース開始直後にコースアウトしたことが、ペレスにとってはある意味で幸運だった。それがなければ、ドライバーズ選手権でのハミルトンとの得点差が10ポイント前後まで縮まっていたかもしれないからだ。

 レース後、ホーナーは最近のペレスについて、不十分な成績が続き危惧の念を抱いていることを認めた。

「チェコ(セルジオ・ペレスの愛称)とは腰を落ち着けて話し合わなければならない。我々は今の彼の状態が本来の能力からはかけ離れていることを知っている。彼には本来の状態を回復してもらい、チャンピオンシップで2位のポジションを確保してもらう必要がある。だからこの週末に1ポイントしか獲得できなかったのは残念だった。彼ならば、今日たとえ最後方からスタートしたとしても、大量とは言わないまでもそれなりにポイントを獲得することができたはずだ。しかし我々は彼を最大限支援していく。今後3連戦が控えているからだ」

2023年F1第18戦カタールGP セルジオ・ペレス(レッドブル)

 ホーナーの考えでは、ペレスの不振は自信を失っていることから来ている。それを認めてホーナーは次のように述べた。

「あのような悪循環に落ち込んだ時は、ふたつのことが絡み合ってしまっている。時には落ち着いて地に足をつけ、焦って堂々巡りしてしまわないよう、基本に立ち返ることも重要だ。それをこれから我々はやっていく。チェコの本来の能力を我々は知っており、マックスに次いで2位に入っていたモンツァの段階程度にまで戻せるように、彼を支援していくつもりだ」

 レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコはドライバーの才能をフルに引き出そうと厳しい態度をとる傾向にあるが、ホーナーは、「チェコについては親身になることが重要だと今までの経験から分かっている」と話した。

「我々は彼を全面的に支援しており、彼本来の姿についてよく分かっている。そこへの復帰を目指して行きたい」

 19年間に渡りレッドブルを率いているホーナーは、セカンドドライバーであるペレスにはプレッシャーがかかっていることを認識している。

「彼はおそらくそのプレッシャーを自分自身で引き受けてしまっている。ところで、我々にとって最も重要なのは、ふたつのチャンピオンシップのタイトルを獲得することだ。それをすでに達成した」

「となると、その次に重要となるのが、ふたりのドライバーに1位と2位に入ってもらうことだ。メルセデス、マクラーレン、フェラーリではすべてペアがそれぞれ接近している。我々も、シーズン開幕当初はそうしたペア間の近さがあった。しかしシーズンが進むにつれてばらつきが出てきてしまったので、我々としてはチェコを彼の最高の状態にまで戻す必要がある」

「スポーツも最高峰のレベルになると、フィジカルなゲームであるのと同じくらいメンタル面も重要となってくる。それについて、チェコはメンタルコーチについて取り組んでいると話していたと思う。彼が自分自身にかけている鍵を開けて自信を取り戻すには、まさに必要なことだと思う」

2023年F1第17戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の優勝でレッドブルがコンストラクターズタイトルを獲得

 2024年もペレスとの契約はあるが、彼はチームに留まるのかと聞かれたホーナーは即答を避け、次のような話を繰り返した。

「チェコ本来の能力を知っていることが、我々にとってフラストレーションとなっている。もちろん、昨年も今年も、彼はコンストラクターズ選手権のタイトル獲得に大いに貢献した。我々は彼に本来のパフォーマンスを発揮してほしいと心底思っているし、チームとしてもそうしてもらう必要がある。我々としては、ドライバー間に大きな差があるようでは困る。おそらくは来年もそうだと思うが、グリッド上で差が縮まっている状況では、両ドライバーに最高の成績を上げてもらわなければならないからだ」

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