死亡事故起きた「だんじり」は存続すべき?無くすべき?大阪府民300人の答え

(写真:時事通信)

10月8日、大阪府大阪市生野区でだんじりの試験曳き中に50代男性が死亡する事故が起きた。この事故はだんじりが左折しようとした際に曲がり切れず、中央分離帯のガードレールに衝突したもので、先頭で指揮をしていた男性がだんじりとガードレールに挟まれて救急搬送されたが、9日朝に死亡が確認された。

だんじり祭は江戸時代中期に始まったとされており、長い歴史と伝統を誇る。近畿地方を中心にさまざまな地域で開催されているが、もっとも有名なのは大阪で行われている「岸和田だんじり祭」だ。約4トンのだんじりが街中を全速力で駆け抜ける様子を一目見ようと、全国各地から約50万人の観光客が訪れるという。

しかし、その豪快さゆえ事故が頻発し、2000年以降、だんじり関連の死者数は全国で20人にも及ぶ。ケガ人も多数出ており、その危険性がしばしば議論の対象となってきた。

実際のところ、岸和田市のある大阪府に住む人々はだんじり祭についてどう考えているのだろうか。そこで、本誌はWEBアンケートツールQiQUMOを使って、調査を実施。大阪府在住の20代~60代の男女300人から回答を得た。(2023年10月9日~10月11日)

まず、だんじり祭の是非について、「存続すべき」と答えた人は64%。「無くすべき」と答えた人は36%。肯定派が多数だった。

存続すべきと答えた理由は、伝統を守るためという意見が多かった。

《伝統行事であり、危険も含めての意味・醍醐味があるから》(45歳男性/会社員)
《伝統的なものであり、楽しみにしている人も多く、だんじりによる経済効果も大きいと考えるため》(22歳女性/学生)

また、存続すべきとしながらも、事故への対応策が必要だとの声も。

《歴史と伝統を伝え続けるため、地域の方々が団結できる絶好の機会だから残すべき。ただし、事故が多い「やりまわし」などは、やり方を見直して安全優先にする必要はある》(52歳男性/会社員)

《長年続いてきた伝統を簡単に潰すべきではない。だんじりをひく地元の人にとっては事故やケガは当たり前になっている。その意識を変えて事故やケガをなくす努力をすれば良いのではないか》(53歳女性/パート)

一方で、無くすべきと答えた人からは安全面を懸念した意見も。

《毎年ではないが、参加者の死亡のニュースが流れる。やはり街中で行われるのが危険だ。渋滞も発生するし、開催するなら道路ではなく河川敷とか広い土地で行うべき》(62歳男性/パート)

《昔の人と今の人は体力が違う。たとえば、普段スーツでデスクワークしてる人がいきなり行っても体が対応できない。昔は普段から体を使い、いろんな意味で感覚的にも対応出来ていたのかもしれない…瞬間的に避けるとか。今の人にも無理なく出来る形にしていかないと存続は難しいと思う》(50歳女性/専業主婦)

事故以外の要素を指摘し、無くすべきだと主張する人もいた。

《参加者の行儀が悪く、乱痴気騒ぎが目に余る。関係ない人にとっては迷惑でうるさい》(49歳女性/会社員)

《だんじりのある地区に住んでいると、お花代という団員の酒盛り費用に充てられる寄付を求められる。それに曳き手が足りず、他の地区に応援を要請したりと現代では限界だと思う》(62歳女性/専業主婦)

ちなみに、「だんじり祭に参加したことはありますか」という質問に対しては、「参加したことがある(曳き手、大工方、鳴り物など)」と答えた人が12%、「見物したことがある」と答えた人が26%、「参加したことがない」と答えた人が62%。4割近い人がだんじり祭に行ったことがあるという結果になった。

伝統ある祭をこれから先も続けていくには、地域住民の理解を得ることと安全面での改善が必要なようだ。

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