【米空母横須賀配備50年】お土産は「スカジャン」 基地の街で生まれた文化 世界に逆流したファッションアイテム

横須賀美術館ではスカジャンの歩みを振り返る企画展も開かれた=2022年11月、横須賀市鴨居

 米空母が横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備され、50年を迎えた。これまでの歩みを振り返る。今回は「スカジャン」。

◆「同じような物を作ってほしい」

 コーラやハンバーガー、ポピュラー音楽など、戦後の占領軍から普及した文化は多く、基地の街はその流入点だった。ずっと一方通行だったが、横須賀から唯一、世界に逆流したのがファッションアイテム「スカジャン」だ。その転機は50年前、米海軍空母ミッドウェーの横須賀配備だった。

 太平洋戦争中、中国では米兵に従軍記念の土産物として、地名と地図、竜や虎などの刺しゅう入りのシャツ形のジャケットが売られていた。歴史に詳しいスカジャン絵師の横地広海知さん(42)=横須賀市=は「終戦直後、米兵が日本のどこかで同じような物を作ってほしいと求めたようだ」という。商機と見た土産店が光沢のあるサテン生地をスタジアムジャンパー風のジャケットに仕立て、商品化したとみられる。

 横須賀の繁華街「どぶ板通り」では、高い刺繍技術を持つ桐生織(群馬県)などの職人を呼んで生産した。戦後も朝鮮半島やベトナムで戦火が絶えず、横須賀には空母の一時寄港が相次ぎ、1隻で数千人の米兵がやってきた。「1ドル360円の時代だったが、よく売れた」と商店街関係者は振り返る。

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